「これでいいのだ」は魔法の口癖!バカボンのパパが天才の理由。悟りとは今を生きることにあり。

マインドフルネス瞑想とは?

古代ギリシアには時間を表す言葉が2種類存在していました。その2種類の時間を表す言葉は「クロノス」と「カイロス」と呼ばれていました。「クロノス」とは私たち現代人が好む時間の流れそのままです。要は時計に表示される時間ということです。一方、「カイロス」とは「今この瞬間」を指す言葉となります。(1)

世の中の多くの人の思考は「クロノス」に囚われています。「クロノス」に囚われるとは、思考の中で生き続けてしまっているということです。過去や未来に思いを馳せるあまり、「今この瞬間」を味わうことを犠牲にしています。

人生とは常に「いま」の連続です。私たちは「カイロス」の中でしか生き続けられません。過去や未来に思いを馳せてもその思いは「いま」にしか存在しませんし、過去や未来の予想も「今この瞬間」に浮かんでくる想像でしかありません。つまり、私たちは「今この瞬間」にしか存在し続けられないのです。(2)

クロノス

↑人は「今この瞬間」しか存在し続けられないのに、想像上の過去や未来ばかりを考え「今この瞬間」という最も大切な時を味わっていない。(photo by Peter Miller

「今この瞬間」にしか存在し続けられないのに、「今この瞬間」にこそ味わえる感情に無頓着であることが私たちを苦しめている元凶となっています。過去や未来という想像の中が現実だと錯覚することで、私たちは大きな犠牲を払っています。

過去や未来を想像し、「今この瞬間」を生きないということは、映画の中の世界を現実だと思い込んでしまうようなものです。どんなに楽しくても「いまこの瞬間」の現実に変化はありませんし、苦しい場合はストレスとなって精神に重くのしかかってきます。

つまり、「今この瞬間」に生きないということは、現実を犠牲にし続けているということにほかなりません。

犠牲

↑「クロノス」に囚われると「カイロス」が犠牲になってしまう。(photo by  carulmare)

世界的な投資家ウォーレンバフェット氏はインタビューを受けた時にこのように答えています。「今この瞬間」を生きていない人たちに向けての警鐘です。

「世の中では、成功とは自分の欲しいものを手に入れること、幸福とはすでに自分が手にしているものを欲しがることだと言っている。さて、どちらがこの場合によくあてはまるのか私にはわからない。けれども、私自身、ほかのことは一切するつもりはない。私は、常々、こんなことを口にする人たちのことを心配している。つまり『今後10年間これに取り組むつもりだ。正直、それほど好きではないけれども、さらに10年間続けて・・・』。私が言いたいのは、これは、年をとった時のためにセックスを控えるようなもの、ということだ。ぞっとしないアイデアだ。」(3)

バフェット

↑「私はタップダンスのように足取りも軽くオフィスに向かう。仰向けに横たわって天井か何かに絵を描かなければというような気分になる。まるでミケランジェロのように。つまり、これが仕事に臨む気分なのだ。この気分がしぼむようなことはない。何ものにも耐えがたい楽しさだ。」(3)(photo by DonkeyHotey)

「クロノス」に囚われてしまうということは、思い込みをしてしまうことにほかなりません。人は思い込みをすることで、現実を直視できなくなってしまいます。自分の思い込みを現実の事と受け取り、相手や状況、自分自身を感情的に責めてしまったり、悲しみでふさぎ込んだりしてしまいます。(4)

まるでドン・キホーテのようにただの風車を想像上の巨人に見立ててしまっているのです。過去や将来といった想像上の時間軸に囚われてしまっている限り思い込みを手放すことは出来ません。

ドン・キホーテ

↑風車を巨人と見立ててしまうドン・キホーテは思い込みに囚われていた。(photo by onur bahcivancilar)

では、「今この瞬間」を生きるとはどういうことでしょう?それは、過去や未来に囚われて「いま」を犠牲にするのではなく、「今この瞬間」を体感し受け入れることを指します。

今では享楽者とか快楽主義者という誤解された意味でのみ使われている”エピキュリアン”という言葉だが、その語源となった古代ギリシアの哲学者エピキュロスは、生きていくうえでの快楽を追求した。

そしてたどりついた頂点が、満足という名の贅沢だった。その贅沢に必要なものは、しかし多くはなかった。すなわち、小さな庭、そこに備わっている数本のイチジクの木。少しばかりのチーズ、3人か4人の友達。

これだけで、彼は十分に贅沢に暮らすことができた。(5)

小さな家

↑「今この瞬間」を受け入れると一見ささいに思えるようなことからでも幸せを感じとることが出来る。(photo by Susanne Nilsson)

人の思考は血液のように絶えず流れています。思考とは自分自身で考えだして作ったものではなく、頭の中のノイズと表現したほうがいいでしょう。本来、思考はあなた自身の一部であっても、全体ではありません。しかし、思考を自分自身と捉えてしまうと、そこに間違った自己意識(エゴ)が生まれてしまいます。(6)

このエゴに取りつかれてしまうと、人は思考で考えることすべてを現実だと認識してしまいます。本来思考と感情は結びついてはいません。しかし、エゴに取りつかれてしまうと、生まれてくる思考と自分自身の感情がすべてリンクしてしまい思考にあなた自身が乗っ取られてしまう状態となってしまいます。(7)

エゴ

↑エゴに乗っ取られてしまうと、エゴを自分だと思い込んでしまう。

「あの時ああしておけば・・・」「こんな成績じゃいい大学に入れない・・・」「この前彼女と目があったから俺のことを好きに違いない・・・」

思考と感情が結びついてしまうと、どのような思考が流れてきてもそれぞれに対し一喜一憂をしてしまうでしょう。現実でもないことに、絶えず感情が揺さぶられている状態になるのですから、当然心が休まる暇がありません。

思考は過去や未来を思い描くことでしか存続出来ません。「今この瞬間」はここにしかない現実なのであーだこーだ考え続けるということはあり得ないのです。人は想像に囚われることで、「今この瞬間」でしか味わうことの出来ない体験を手放しています。

夢と同じく想像の世界で人生の大半を過ごしてしまうのが人間というものです。この想像の世界に居続けると現実は容赦なく見放してきます。精神的な疲労。要はストレスとなって自らの首を絞めに来るのです。

ストレス

↑思い込みという想像の世界に居続けると精神的な疲労という重圧に絶えずさらされ続けてしまう。(photo by Mike Hoff)

ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん貧乏父さん」に興味深い記述がありましたので、紹介させていただきます。

「たいていの人は恐怖や欲望といった感情がいったいどこへ自分を連れて行こうとしているのかほとんど考えもせずに、ただ感情に突き動かされるまま高い給料、昇給、安定した仕事を求めて一生を過ごす。それは、鼻先にニンジンをぶらさげられた馬が、どこへ行くのか知りもせずに、重たい荷物を引いて走り続けるのと変わりがない。馬をあやつる人間は、馬を自分の望む方向に生かせることが出来るかもしれないが、馬自身は決して手に入らないニンジンを追いかけ続けるだけだ。明日になってもまた新しいニンジンを目の前にぶらさげられるだけなんだ」(8)

頭に浮かぶ想像に囚われることで、「いま」という時間を犠牲にしている人たちを鼻先にニンジンをぶら下げられた馬と表現していますが、まさに的を得ています。

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↑多くの人はこの馬同様、想像に囚われあてもなく人生をさまよい続けてしまう運命にある。

ベトナムの禅僧ティック・ナット・ハンは世界で最も穏やかな人です。彼の生きる時間はまさに古代ギリシアの「カイロス」そのものです。彼はこの状態をマインドフルネスと呼んでいます。(9)

「マインドフルネスの状態は、あなたを今ここに戻してくれます。今ここで自分の幸せを認識するとき、幸せはやってくるのです。」(10)

彼はそうした「今この瞬間」に生きています。彼にとってはお茶を飲むという時間でさえかけがえのない「カイロス時間」なのです。

「茶碗を持ち、息を深く吸い込むと、心が身体に戻ってきて、あなたは今この時に落ち着きます。身も心も一つになり、一杯のお茶に命を見出すでしょう。あなたはそこに在り、お茶もそこに在ります。過去や未来をさまようことなく、思いや不安に惑うことなく。心を悩ませるものから解き放たれ、一杯のお茶を楽しむのです。それが幸せのときであり、安らぎのときです。」(9)

ティックナットハーン

↑「今この瞬間」を生きるとどんなことにも安らぎを感じられる。(photo by Geoff Livingston)

「今この瞬間」を体感することに特化したコーチングをプロセス・コーチングと呼びます。クライアントに人生のただ中で「今ここ」に存在している自分をじっくりと味わってもらいます。人生における瞬間瞬間を味わい、自分らしく感情表現豊かに生きることこそがプロセスコーチングの求める所となります。(11)

「今はどんな感情がありますか?」「今の姿勢はどうなっていますか?」「今はどんな感覚がありますか?」など、プロセスコーチングでは「今この瞬間」を意識してもらうようなかかわり方をしていきます。その結果として、クライアントは普段はなかなか感じることが出来ない「今この瞬間」を深く体感することが出来るのです。

プロセス

↑プロセスコーチングを受けることで、囚われていた思考から解放され心が満たされていく感覚を感じられる。

「今この瞬間」を友人にしようと決断するはエゴの終焉を意味します。エゴは決して「今この瞬間」と共存することは出来ません。エゴは「クロノス」の中でしか生き続けることが出来ないからです。エゴが強ければ強いほど人生は時間に支配されてしまいます。

こうなるといつも過去や未来の事ばかり考え、自分がどういう人間かが過去によって決定され、自己実現を未来に頼るようになってしまうのです。そうなってしまうと、常に心は過去や未来に囚われてしまいます。恐怖、不安、期待、後悔、罪悪感、怒りなどは、意識が時間に縛られて機能不全となった時に現れます。

このようになってしまうと、「今この瞬間」を目的のための手段ととらえたり、自分にとっての乗り越える障害だととらえたり、最悪の結果として敵だと判断してしまいます。「今この瞬間」とは人生そのものです。自分自身が人生にそっぽを向いてしまうことで、人生からも手痛いしっぺ返しが待っています。(12)

自らの「今この瞬間」を否定し続ける人生の先に幸福は待ち受けているでしょうか?答えはNOです。真の幸福とは「今この瞬間」にしか体感できないものであり、過去や未来を想像して「今この瞬間」を犠牲にした先に幸福が訪れることはありません。

いま

↑「今この瞬間」を友人に迎え入れることはエゴとの決別になる。

ほんとうのことをいえば、人も羨むその「輝ける明日」なんてものは、いつまで経ってもやってこないというのに。

人がほんとうに生きられるのは、今という時間しかない。その今を、10年後だか20年後だかの明日のために使ってどうしようというんだろう。
昔はそういう人間を、地に足が着いていないといった。
夢なんかより、今を大事に生きることを教える方が先だったのだ。
まだ遊びたい盛りの子どもを塾に通わせて、受験勉強ばかりさせるから、大学に合格したとたんに何をすればいいのかわからなくなる。

夢なんてかなえなくても、この世に生まれて、生きて、死んでいくだけで、人生は大成功だ。
俺は心の底からそう思っている。

どんなに高いワインより、喉が渇いたときの一杯の冷たい水の方が旨い。
お袋が握ってくれたオニギリより旨いものはない。
贅沢と幸福は別物だ。
慎ましく生きても、人生の大切な喜びはすべて味わえる。
人生はそういう風にできている。

そんなことは、誰でも知っている。
だけど、そんな大切なことも教えないで、夢を追いかけろという。
頑張って勉強して、スポーツやって、起業したり、有名人になったりしなければ、幸せになれないと脅す。
そうしないと経済成長が止まって、大変なことになってしまうからだ。

だけど、大変なことになるのは、いったいどこの誰だろう。

少なくとも、清く貧しく美しく生きている奴ではない。

北野武

北野武

↑人がほんとうに生きられるのは、今という時間しかない。その今を、10年後だか20年後だかの明日のために使ってどうしようというんだろう。

「カイロス時間」を生きるために最も有効なツールは瞑想です。瞑想とは浮かんだ雑念を意識的に把握し、片づけていく作業となります。浮かんできた雑念に意識を向け、その都度手放していくのです。手放すことで頭が整理され思考と自分自身とを切り離すことが出来てきます。(13)瞑想について詳しくは瞑想とは何か?それはあなたの脳のパフォーマンスを最大化する唯一無二の方法をご覧ください。

先ほど思考は絶え間なく脳が作り出していくノイズだとお伝えしましたが、あなた自身と思考はまったくの別物だということが瞑想を行うことですぐに自覚できてくるでしょう。目を瞑り瞑想をすると自然と思考が出てくることにお気づきになるはずです。

このような思考を観察しているあなた自身が本当のあなたになります。要は思考とは勝手に生まれては消えるただの脳のノイズだということが瞑想を行うことで理解できるようになってくるのです。

しかし、瞑想を生活に取り入れていない多くの人は、このノイズが発する言葉を自分自身と結び付けてしまっているのです。そうなると、思考に心が乗っ取られエゴが生み出されてしまいます。エゴが生み出されることで、「今この瞬間」と敵対し過去や未来に囚われた思い込みの世界で生き続けることになってしまいます。(12)

瞑想を行うことで、自然と思考と自分自身の分離が出来るため、自らを「カイロス時間」に引き戻していきます.

瞑想

↑瞑想を行うことで思考と自分自身の意識を切り離すことができるため、思い込みから解放され「今この瞬間」に心を戻すことが出来る。(photo by Moyan Brenn)

瞑想を行うようになると、「今この瞬間」に心を取り戻すことが出来るだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールの様々なスキルが向上します。また、迷走を定期的に行うことで、脳の前頭皮質や自己認識のために役立つ脳の灰石灰が増加することが近年の研究で明らかになっています。(14)

筋肉はトレーニングをするほど血流が増加し、より力強く成長していきます。瞑想すると脳の前頭前皮質に筋肉トレーニングと同様に血流が増えていきます。瞑想をするほど脳は瞑想に特化して再構築されていきます。そのため、瞑想を繰り返すほど瞑想の効果が高まってくるのです。(15)

瞑想を繰り返していくと、瞑想中以外でも、思考に意識を向けることができるため、「今この瞬間」に戻ってくる時間が増えていくことになります。

筋トレ

↑筋力トレーニングのように瞑想力もトレーニングをすることで鍛え続けることが出来る。

独創的なアイデアと先進的な感性でIT業界をけん引してきたスティーブ・ジョブズの自伝において、禅の影響を受けて日常的に瞑想を行っていたことが明らかになってから、世のビジネスマンたちの間で瞑想は世界的な広がりを持って迎え入れられました。(16)

一昔前までは瞑想というと、特定の宗教の特定の行為だと思われることのほうが多かったですし、宗教色が強いというイメージから敬遠されてきた部分があります。しかし、ジョブズの自伝をきっかけとして、特に時代をリードする企業では瞑想をプログラムの一環として世界的に取り入れ始めています。

グーグルでは「サーチ・インサイド・ユアセルフ」という瞑想プログラムを立ち上げています。今ではこのプログラムをきっかけとして5000人の社員が瞑想を行っています。(17)

最もクリエイティブなアイデアは思考が過去や未来に囚われている時ではなく、「今この瞬間」を体感している時に出てくるものです。

ジョブズ

↑瞑想を継続的に行うと世界を巻き込むイノベーションを起こすことも可能になってくる。

瞑想を行うことで目指すべき状態は、囚われや思い込みといった執着から解放され無執着の状態になっていくことです。仏教では、微妙な心の変化を表すサンスクリット語が2つあります。「ヴィッタルカ」と「ヴィッチャーラ」です。

「ヴィッタルカ」は「求めている」状態で、自分が実現しようとしていることに執着している状態を表し、「ヴィッチャーラ」は「見ている」状態で、自らが何かを実現するわけではないが、望む結果に執着していることを指します。

どちらの状態も心が執着することで、いま目の前に起きている別の面が見えなくなったり、抵抗してストレスを抱えたりしてしまいます。(18)

瞑想を行い続けることで、無執着の状態になるとすべてのことを「今この瞬間」のあるがままの状態で受け入れることが出来るようになっていきます。心穏やかな「カイロス時間」を生き続けることが出来るようになってくるということです。

何が起こっても「これでいいのだ」と受け流せすことの出来るバカボンのパパは悟りを極めた天才なのかも知れません。

よりマインドフルネス瞑想の理解を深めたい方は下記のカテゴリから必要な記事をご参照下さい。

(1)エッセンシャル思考P270(2)ニュー・アースP222(3)ビジョナリーピープルP57(4)四つの約束P51(5)超訳ニーチェの言葉026(6)ニューアースP145(7)リチャード・カールソンの楽天主義セラピーP25(8)金持ち父さん貧乏父さんP77(9)エッセンシャル思考P278 (10)”Oprah Talks to Thich Nhat HanH,”O magazine,March 2010, www.oprah.com/spirit/Oprah-Talks-to-Thich-Nhat=hanh/3.  (11)コーチング・バイブル第3版P197(12)ニューアースP218(13)始めよう。瞑想(14)スタンフォードの自分を変える教室P50スタンフォードの自分を変える教室P51(16) 前向き脳の作り方】スティーブ・ジョブズもやっていた!「瞑想」こそ、前向き脳を作る第一歩 (17)5,000人のグーグル社員が行う瞑想「何とかなる。それはやることをちゃんとやってる人のセリフ」 (18)出現する未来P121

コメント

  1. りょうすけ より:

    素敵な教訓とちょっぴりの勇気をもらうことができました。 ありがとう!

    • りょうすけさん
      心のこもったお言葉をいただきうれしいです。こちらこそありがとうございます。

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