日々の生活にこれといった不平や不満はなくても心が満たされないと感じている人は意外に多いものです。
でも、検討つかないものだからほっぽらかしてたまま放っておいてしまうなんてことに。。。
そうなってしまうと大変です。
なぜならあなたの心から発せられる救援信号を無視する形になってしまうのですから。
満たされない気持ちとは、自分自身を認めることが出来ない心からのSOS。
この気持ちを放っておくといつの日か自分でも抑えられないほど大きくなってしまいます。
そしてご自身や周囲の人までをも巻き込み傷つけてしまうのです。
今回の記事ではこの満たされない気持ちの原因を追及し、その原因を解決することで、本当の意味で幸せになる方法についてお伝えしていきます。
Ⅰ.生きる上で欠かすことが出来ない3つの要素
私たちは生きる上で欠かすことの出来ない要素を持っています。
心が満たされない原因は私たちの3つの要素に不具合が生じてくることにあります。
コーチングではこれら3つの要素を次のように表現しています。
- being・・・存在
- doing・・・行為
- having・・・所有
この3つが私たちが生きる上で欠かすことが出来ない要素です。
それぞれ具体的にどのようなものかを見ていきましょう。
1.being・・・存在
beingとはその人の存在そのものです。
内面にあるあり方や人間性をすべて含めたその人自身です。
心のありようとお伝えしたほうがわかりやすいかもしれません。
- 朝早く起きてなんだか気分が高揚している(being)
- 友達と話をしていて楽しい(being)
- 雨が降って来そうで憂鬱な気分(being)
- ペットと過ごして癒される(being)
- 人と比べられてみじめな気持になる(being)
一例をあげてみました。
このように自分が感じる気持ち、感情がbeingとなります。
注意していただきたいことは、相手に対して向ける感情はbeingにはならないということです。
自分自信に向かった感情だけがbeingです。
怒りや競争心などは相手に向ける感情になりますよね。
当然これらの感情はbeingにはなりません。
怒りや競争心が芽生える前に生まれた感情こそがbeingとなるのです。
1-1.第二感情
例えば、ファミレスの店員さんが不機嫌な顔をして接客してきたとしたらどうでしょう。
おそらく、あなたは怒りの感情が込み上げてくるのではないでしょうか?
しかし、この相手にぶつける感情が込み上げてくる前には不愛想に接客されてみじめな気持になった。
傷ついた。などbeingが存在しているのです。
このように相手に向けられた感情を第二感情と呼びます。
第一感情のbeingの後に現れるから第二感情です。
相手に発せられる感情はすべて第二感情になります。
しかし、第一感情に焦点をあてると心が傷ついてしまうという理由で無意識化では蓋をしてしまうケースがよくあります。
2.doing・・・行為
doingとはその人の行為や行動です。
行為や行動も私たちにとって重要な要素です。
というか、私たちの社会は望ましい行為や行動をするように日々働きかけてきますよね。
だからこそ、beingよりもdoingに自然と焦点が当たってしまうのです。
- 勉強をする
- セミナーに通う
- 目標に向かって努力する
- 学校をさぼる
- 反抗をする
人が成功を収めるにはdoingなくしてあり得ません。
しかし、自分に好ましいdoingもあれば好ましくないdoingもあります。
例えば勉強中に漫画を見てしまうなどです。
好ましくないdoingをしないためにはきちんと目標設定を行いしっかりと自分自身で管理をしていくことが大切です。
3.having・・・所有
havingとはdoingによって得られた物や資格、人間関係などを指します。
doingすることによって所有できたすべてをhavingといいます。
私たちの多くはhavingを手に入れるために日夜頑張っていますよね。
- 資格
- 人間関係
- 家
- 粉飾品
- 肩書
おそらく多くの人のゴールはhavingを手に入れることだと思います。
いい家に住んで、理想の結婚をして、周りから認められる肩書を持って・・・
当然、ご自身の夢はhaving中心になっていませんか?
havingを達成することこそが生きがいだと。
もちろん、havingを手に入れることも人生の目的のひとつです。いかにhavingを手に入れるかということを考えるのはとても大切です。
Ⅱ.ありのままの自分を受け入れられない理由
先ほどは3つの要素それぞれどういったものかを説明させていただきました。
ありのままの自分を受け入れられない理由はこの3つのバランスが崩れていることに起因します。
その中でも最も軽視されているbeingの影響によるところが大きいです。
私たちは小さなころからdoingやhavingに焦点をあてて育てられてきました。
しかし、beingに関してはほとんどの人が触れられることがなく育ってきたのです。
子供のころに受けた影響が強いほど大人になった時のバランスは崩れていくものです。
1.親から与えられるdoingとhavingのほめ言葉
ここで子供のころに親から声をかけられる一例をあげてみましょう。
- 「勉強頑張ったね。よくやった。」(doing)
- 「望みどおりの学校は入れてよかったね。」(having)
- 「テストの成績良くて安心したよ」(having)
- 「妹にやさしくして偉いね」(doing)
- 「聞き分けがよくていい子だね」(doing)
多くの親は子供のdoingやhavingに焦点をあてているため、自然とdoingやhavingを評価する言葉を投げかけます。
親は良かれと思ってほめているつもりでも子供としての受け取り方は複雑です。
- 勉強に頑張らなければ認めてもらえない。
- 望みどおりの学校に入らなければ認めてもらえない。
- テストの成績が良くなくては認めてもらえない。
- 妹にやさしくしなければ認めてもらえない。
- 聞き分けが良くなくては認めてもらえない。
子供の無意識化では自分の価値とはdoingやhavingの上に成り立っているものだと考えるようになってしまいます。
ということは、私たちは子供のころからdoingやhavingをなくしてしまう恐怖を無意識のうちに植え付けられていたということになります。
2.親から与えられるbeingのほめ言葉
私たちの多くはdoinngやhabingと異なりbeingでのほめ言葉をもらう機会はほとんどなかったといっても過言ではありません。
つぎにbeingのほめ言葉の一例を見てみましょう。
- 「生まれてきてくれてありがとう」(being)
- 「一緒にいてくれるだけで幸せだよ」(being)
- 「うれしそうでこっちもうれしくなってくるよ」(being)
- 「悲しいんだね。気持ちがよくわかるよ」(being)
- 「妹がとても好きなんだね。やさしいね。」(being)
あなたはこれらの言葉を聞いて幼稚園児くらいまでにしか使わない言葉だろうと思われませんでしたか?
beingを認めるということは相手の中にある存在そのものを認めるという事です。
子供としてはdoingやhavingで武装する前のありのままの自分自身をほめてもらえたという嬉しさが強く残るものです。
しかし、大人としては行為や得られる結果にばかり焦点が行ってしまうため、次第にbeingを認めることをしなくなってくるのです。
3.beingを軽視されて育った結果ありのままの自分を認めることが出来なくなってしまう
あかちゃんや幼稚園児に対しては親の焦点は子供の存在にあたっていたにも関わらず、子供が大きくなるにつれ親の焦点は子供のbeingとhavingに移り変わってしまいます。
その結果、子供は自分の存在を認めてもらえないという葛藤に悩まされてしまいます。
そして、doingやhavingで武装していない自分には価値がないと自然に思い込み大人になってしまいます。
beingを軽視されて育ったため、ありのままの自分自身を認めることが出来なくなってしまいます。
ありのままの自分自身には価値がないという気持ちを持ってしまうのです。
Ⅲ.ありのままの自分を受け入れられない3つの弊害
ありのままの自分を受け入れる気持ちを自己肯定感といいます。
自己肯定感が高い人は楽しさやうれしさ、充実感を味わう自分だけでなく、悲しさ、みじめさ、無力感を味わう自分自身も同じく価値のある自分だと認める気持ちを持っています。
自分の感情をしっかりと受け入れ、自分自身の強さも、弱さも自分の一部として愛情をもって接することが出来るのです。つらい感情から逃げるのではなく、つらい感情と向き合っても自分の大切さを感じられる心の幅があります。自分の存在そのものに価値があると知っているということですね。
自己肯定感と他者肯定感は正比例の関係にあります。
自分の弱みやつらさを受け入れることが出来るからこそ、同じように他人に対しても思いやりをもって接することが出来るようになるのです。
一方、beingが軽視されて大人になってしまった自己肯定感の低い人は大変です。
物質的な幸せを手に入れることが出来ても精神的な幸せを手に入れることが出来ません。
その理由についてこらからお伝えさせていただきます。
- アクティングアウト
- 万能感という思い込み
- 心から休まることが出来ない
1.アクティングアウト
自己肯定感が低いと、自分にとってネガティブな感情に無意識のうちに蓋をしてしまう傾向が高くなります。
理由はネガティブな感情に目を向けると、ただでさえ低い自己肯定感がさらに低くなってしまうという恐怖心が働いてしまうからです。
だからこそ、自分でも気が付かないうちに蓋をするという心の防衛機能が働いてくるのです。
そうなるとネガティブな感情に気が付くことなく、漠然と胸にぽっかり穴が開いたような無気力感に支配されてしまいます。
しかも、無意識のうちに抑え込んだネガティブな感情は行動を通して発散される性質を持っているからやっかいです。
人に当たったり、暴飲暴食をしたり、自分を傷つけてしまったり。
この抑え込んだネガティブな意識がネガティブな行為として発散されることを心理学用語でアクティングアウトといいます。
自分の心がネガティブな感情に支配されることは免れますが、どちらにしても自分が傷つくのに変わりありません。
1-1.アクティングアウトの例
先ほどたとえとして出したファミレスの店員の話に戻しましょう。
ファミレスの店員に不愛想に接客された→みじめな気持になった(第一感情)→怒りが込み上げてきた(第二感情)→大声でどなる(アクティングアウト)or我慢していらいらする。
自己肯定感が低いとみじめな気持になった感情には蓋をしてしまいます。
自分自身が傷つくのを過度に恐れているためです。
そして、第二感情の怒りに焦点を合わせて即座にどなるというアクティングアウトに行動を映します。
自己肯定感が低い人は切れやすいのです。
一方、自己肯定感が高い人はみじめな気持をしっかりと心で受け止めます。
今みじめな気持になったんだなと受け止めることで第二感情が噴出することを防いでいます。
その上で、こんなときもあるよねという思考に転換していきます。
我慢をするのではなく、ただ感情を受け止めているのです。
コントロール出来ないことにいらいらしたり、自分を責めたりすることはありません。心の濾過機能でしっかりと感情を濾過出来ているのです。
自己肯定感が低い人は相手に向けた第二感情に支配されることで相手をコントロールしようと働きかけます。
一方、自己肯定感が高い人は第二感情が出ないため相手にぶつける必要はないのです。
結果、いらいらしたり攻撃的になったりといったストレスがかからない生き方となるのです。
2.万能感という思い込み
自己肯定感が低い人は万能感という思い込みに支配される可能性が高まります。万能感とは自分自身の人間的価値を肩書や能力といったdoingやhavingで判断してしまうことです。
万能感を持つことで、自分だけでなく人を判断する時もその人の存在ではなくbeingやhavingのみで評価し続けます。万能感を持つことの弊害は、絶えず人を序列で判断してしまうことにあります。
肩書や能力が自分よりも高い人には嫉妬心を感じ、自分よりも低い人にはエリート意識を持って見下して接することが多くなるのです。人を序列で比較するため相手からの印象はよくありません。
また、自己肯定感が低いため常にdoingとhavingを追い求めていないと不安になってしまいます。
そのため、いつも競争の中に身を置いていないと不安に飲み込まれてしまうのです。そして、満たされない自己肯定感を埋めようと人からの賞賛を受け取りたくて仕方がないという傾向があります。
しかし、どんなに物質的な成功を果たしてもdoingとhavingに偏っていては自己肯定感は低いままです。
物質的な成功をしてもありのままの自分を認めることが出来ないのです。
当然このままの状態では感情面での幸せを手に入れることが出来ません。
3.心から休まることが出来ない
アクティングアウトや万能感の思い込みの呪縛に縛られたままではどんなに物質的に成功したとしても心からの幸せは訪れません。
また、このような状態が続くほど周りから人が離れていってしまいます。
本人は周りから人が離れていく要因がまったく理解できないものですから、さらにストレスがたまり周囲に発散するという悪循環に陥ってしまいます。
そして、自分から人が離れていくということでいままで自分が積み重ねてきたdoingやhavingも崩れ落ちてしまう可能性が高いということも理解しています。
自分自身でもそのことがわかるからこそ、doingやhavingにしがみつこうとやっきになるのです。
このような状態では現状のストレスや、将来の不安で心から休まることが出来ないのは明白です。自己肯定感が低いとこのように多くのことがうまく回らずにストレスだけが増え続けてしまいます。
何かが出来る自分には価値があるけれども、何かが出来ない自分には価値がないと思い込んでしまっているのです。
Ⅳ.ありのままの自分を受け入れることで幸せになる3つの方法
幸せな生活を手に入れるのであればありのままの自分を受け入れ、自己肯定感を高める努力をする必要があります。
自己肯定感を高める方法は精神的に簡単ではありませんが、きっとお役に立つはずです。自己肯定感を高める方法は下記の3つです。
- 失敗や挫折した時の感情に焦点を合わせる
- 感情を擬人化して頭の中で語り合う
- コーチングにおける認知のスキルを活用する
それぞれ具体的にお伝えしていきます。
1.失敗や挫折の感情に焦点を合わせる
自己肯定感が低い一番の理由は自分自身のネガティブな感情に向き合ってこなかったことです。
だからこそ自分自身の感情に向き合う必要があります。
失敗や挫折をした時に自分のbeingに焦点を合わせることが大切になってきます。
感情に焦点を合わせるには質問が最も有効です。
「今どのように感じているの?」と自分自身に問いかけてみて下さい。
- 失敗していま落ち込んでいるんだな。
- すごく悲しいんだな。
- とてもみじめな気持ちなんだな。
- 不安なんだな。
- だれからも相手されなくてさみしいんだな。
失敗や挫折を振り返った時に自分がどうしても認めたくない感情もあるでしょう。いつもなら蓋をしている感情だからこそ当然です。
しかし、頑張って自分の感情を噛みしめてみて下さい。
失敗や挫折の時に味わう感情に焦点を合わせることで自分の感情としっかりと向き合うことが出来るのです。
1-1.失敗と向き合い客観的に理解する
感情と向き合うことで自分自身が何に対して恐怖を感じていたのかが客観的に理解できるようになります。
自分の心の弱さをしることで自分自身の人間性の幅を広げるきっかけとなってきます。
そして自信の弱さを意識することで弱さを受け入れる心のスペースが出来てきます。
弱さを克服するのではなく自分の一部と認識しつつも、弱さを含めた自分自身を認めてあげることが出来るようになってきます。
自分にはこんなに弱い部分もあるんだなと弱さを認めるだけでも人に対しての接し方が変わってきます。
ここで注意していただきたいことがあります。
あくまで弱さを認めるだけで構わないという事です。
いつまでも弱さに捉われてしまって不快な気分になるのはよくありません。
自分にはこんな弱さもあるんだなと認めることがポイントです。
弱さを認めることで自己肯定感は自然と高まってきます。
そして徐々にありのままの自分を受け入れられることが出来るようになってきます。
2.感情を擬人化して頭の中で語り合う
自分自身の弱さが理解出来た場合とても使える方法です。
たとえば、みじめという気持ちが自分にとっての弱さだった場合を考えて見ましょう。
このみじめな気持に名前をつけて擬人化していきます。
今回は「みじめん」とでも名付けておきましょう。
そして、目をつぶり「みじめん」と頭の中で対話をしていきます。
- なんで「みじめん」はみじめな気持になったの?
- 今まで「みじめん」の気持ちに気が付いてあげられなくてごめんね。
- 「みじめん」も自分の大切な一部だよ。
とでも言ってあげてみて下さい。
「みじめん」はそっと理由を教えてくれるかもしれません。
もしかしたら、ずっと隅っこで泣いているだけかもしれません。
それとも、怒り狂っているかもしれません。
いずれにせよ、自分自身の深層にある感情に目を向けることで今まで対話をしてこなかった感情と向き合うことが出来るようになります。
自己肯定感が高い人は無意識のうちに自分の中の感情と対話をしています。しかし、自己肯定感が低いとこの気持ちを味わいたくないため蓋をしてしまっているのです。
だからこそ、意識的に対話の場を作り対話をすることで弱い感情と向き合う耐性をつけていくのです。
3.コーチングにおける認知のスキルを活用する
認知とはコーチングで使う技術のひとつです。
では、認知とはなにか?ということからお話をしていきましょう。
認知とは文字通り相手のbeingを認める技術です。
相手の存在を認める言葉をあいてに伝えていくのです。
この認知の技術を自分自身に使うことで自分のbeingを満たしていくことが出来ます。
具体的には言葉に出して「今はうれしい感情だね」「すごく心が傷ついてるね」「とても心が穏やかだね」などポジティブな感情も、ネガティブな感情も表現してしまいます。
擬人化がネガティブな感情に焦点を合わせているのに対し、認知は言いも悪いも今現在うちにあるbeingすべてを認めていきます。
自分の感情を客観的に認めることで自己肯定感が高まってくることでしょう。
認知のスキルの具体的な使い方は対人コミュニケーション最強のコーチング技術30選!にて詳しく取り上げております。
すべて認知の技術についての記事となります。
まとめ
今回の記事では自己肯定感が低いと自分の感情が満たされず、自分に対しても周りに対しても悪い影響を与えてしまうということをお伝えしました。
そして、自己肯定感が高いと自分に対しても人に対してもより良く接することが出来るということを書かせていただきました。
また、自己肯定感をどのようにして高めていくかの方法についても最後にお伝えさせていただきました。
自分と向き合うという作業は簡単なものではありませんが、自分が抑え込んでいる感情を受け入れることで自己肯定感は徐々に高まっていきます。
初めのうちは大変かも知れませんが、徐々に自己肯定感が高まってくるのが実感できると思います。
よろしければ試してみて下さい。
コメント
その中でも最も軽視されているbeingの影響によるところが大きいです。
私たちは小さなころからdoingやbeingに焦点をあてて育てられてきました。しかし、beingに関してはほとんどの人が触れられることがなく育ってきたのです。
文脈からすると2番目のbeingはhavingの間違いではないかと思いますが。
h.koaraiさん
返信が遅くなり申し訳ありません。ご連絡ありがとうございます。修正させて頂きました。感謝しております。