- Q今回の記事で学べる内容はなんですか?
- A
コミュニケーション能力を大幅に向上させることの出来るプロが実践で使う聞く技術をお伝えしています。こだわったポイントはひとつです。すぐに使えるけれども、コミュニケーション能力を大幅に向上する技術をお伝えすることです。短期間でコミュニケーション能力を向上したい方におすすめの記事となっております。
コーチやカウンセラーというコミュニケーションのプロが使っている技術のため、効果は折り紙つきです。ただし、一度に全部を覚えるよりも、ひとつのスキルを身に付けてから次のスキルを覚えっていったほうが効果的です。
ご安心下さい。どのスキルも強力なスキルであるため、ひとつを使いこなすだけでもコミュニケーション能力は現状よりもはるかに高くなることでしょう。
では、次の章より具体的なテクニックについてお伝えさせていただきます。
Ⅰ.聞くことよりも相手に関心を傾ける意識が大切な傾聴
話を聞く上で最も大切なことは目の前の相手に関心を持つということです。この認識を持つと持たないでは話の聞き方の精度に雲泥の差が出てきてしまいます。そのため、まずは相手に関心を傾ける傾聴という言葉についてお伝えさせていただきます。
1.傾聴の種類
傾聴とは文字通り耳を傾けて聴く、心を傾けて聴く、身体を傾けて聴くということにつながります。つまり相手に関心を持って聴くことが傾聴本来の言葉の意味です。
また傾聴には大きく分けて3つの傾聴があります。
- 内的傾聴
- 集中的傾聴
- 全方位的傾聴
上記の3つです。まずはこの3つに対して説明させていきましょう。
①内的傾聴
内的傾聴とはあなた自身の心の声を聞くということです。
自身で内面を振り返る時や、仕事に没頭する時など内的傾聴が役立つ場面は数えきれないほどあげられます。
一方、人の話を聞く時には内的傾聴のマイナス面が顔を出します。人と話をしている時、自分の頭の中に浮かぶ言葉に心がとらわれている状態がまさしくそうでしょう。
また、多くの人は内的傾聴の概念を知りません。だからこそ、自分の頭の中に浮かぶ言葉に心がとらわれているという自覚がないのです。
②集中的傾聴
相手のすべてに焦点を合わせて話を聞いている状態です。
身振りや手振り、表情や声の速さ、トーンなど相手が発する言葉以外の情報からも相手の話したいことを聞くことに意識を集中しています。
ボクサーが試合中に目の前の対戦相手にすべての意識を向けている状況をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。きっと彼らは相手のモーションによって次にどう対処するかに全神経を集中させているはずです。
内的傾聴が意識上の主役が自分であるのに対し、集中的傾聴は意識上の主役はあくまで相手にあるということを認識しておいて下さい。
③全方位的傾聴
自分の周囲360度すべてに焦点を当てて話を聞いている状態です。
意識は相手に向けつつも場の空気やエネルギーを体感として感じ取り、現在おかれているフィールドから相手の情報を余すところなく受け取ります。
また、相手が自分でも意識していない潜在意識上の声をも直観として受け取ることもあるのです。
セミナーの講師が周囲の人たちのひとりひとりの理解度や感覚を肌で感じ取り話の仕方や進め方を変えていく時などを想像すると理解しやすいかもしれません。
2.理想的な傾聴方法
相手の話を聞くということを主眼に置くのであれば、理想的な傾聴方法は集中的傾聴、全方位的傾聴となります。ちなみにコーチがクライアントの話を聞く時は集中的傾聴、全方位的傾聴で聞くよう絶えず心掛けています。
もちろん、コーチも人間なのでふとしたきっかけで内的傾聴に戻ってしまうこともあります。ただし、その時はすぐに今の傾聴状態を察し、集中的傾聴、全方位的傾聴に戻していきます。
すべての傾聴に当てはまることですが、傾聴は筋肉と同じく鍛えるほど比例して能力が向上します。
その中でも集中的傾聴は簡単な心のエクササイズで飛躍的に能力の向上が見込めます。
次の項では集中的傾聴の訓練方法をお伝えしていきたいと思います。
3.集中的傾聴の今日から使えるとても簡単な訓練方法
集中的傾聴の練習方法は至ってシンプルです。とてもシンプルで簡単すぎてあなたは逆に不安を感じてしまうかもしれません。しかし、安心してください。この訓練方法をやる前に誰しもが思う事だからです。まずは騙されたと思ってやってみてください。近いうちに話を聞くことが格段に楽で楽しいものになるはずです。
心の中で前へならへを意識する
さて、それでは本題に入りましょう。
会話をする相手に対して心の中で前へならえをして下さい。そして指先をその人に向けるイメージを持つだけでOKです。
たったこれだけのことですが、このイメージをしている限りは、会話のスポットライトはその人にあたっています。
このようにイメージするだけで集中的傾聴は自然と身についていきます。
あなたが聞くことに関して多少でも苦手意識をお持ちであれば、是非ともお試下さい。人生が劇的に変わります。
Ⅱ.明日から実践できるすぐに使える話を聞く技術10カ条
この章では話を聞く技術に関して焦点をあてていきましょう。あなたが傾聴を理解されたのであれば、話を聞く技術は大きく役に立つことでしょう。
これらの技術を用いたとしてもあなたが内的傾聴で聞いているのであれば、会話の相手は敏感に察知してしまうことでしょう。
相手からの信頼をなくしてしまえばいくら話を聞く技術をつかったとしてもまったく意味をなしません。
よって絶えず集中的傾聴で話を聞く心構えだけは持っておいて下さい。
ラポールを構成する2つの要素
ラポールとは「心の架け橋」という意味です。主に親密や親近感を表します。
会話相手とこのラポールが築けていないと、あなたがいくら集中的傾聴で話を聞いていたとしても相手は上の空となることでしょう。
あなたが相手に心から関心を寄せているということを、相手に伝えることによりラポールは築かれます。とはいっても言葉で「あなたを信頼しています」と言われても相手に不振がられるだけです。
相手に対して言葉ではなく、態度や表情で示していくことが大切なのです。
ただし、これらの技術も気持ちがともなっていないのであれば、まったく意味がないということはご理解下さい。
話を聞く技術その1.ミラーリング
ミラーリングとは文字通り鏡に映したように相手と同調した動きをさします。
身振り手振りを大きくして話す相手であれば、こちらも身振り手振りを大きくしていくといったような感じです。
相手が飲み物を飲んだら、自分も同じように飲み物に手を差し伸べるという事もミラーリングです。
相手の動きにすべてを合わせるわけではない
ただし、気を付けていただきたいことは、相手の動きすべてをコピーすればいいというわけではありません。
もし、あなたが話し相手にすべての動きをミラーリングされたらどうお感じになるでしょう?当然不快に感じますよね。
ミラーリングで大切なことは要所要所で相手に合わせていくことです。自然と相手のペースに合わせることにより相手は親近感を持つようになります。
話を聞く技術その2.ペーシング
ミラーリングが相手の身体の動きに合わせていたことに対し、ペーシングは相手の話し方にペースを合わせることを言います。
相手の話し方のリズムや声の大きさ、早さやなどにペースを合わせていくのです。
相手がゆったりとしゃべっているなら、こちらもゆったりと話を聞いていきますし、相手が早口なら同じペースで質問をしたり相槌をうったりという感じです。
4つの相槌
会話を聞く上でかかせないのがこの相槌の技術です。相槌とは相手の話を「しっかりとうけとめて聞いているよ」という相手に対しての承認です。具体的な相槌の方法についてお伝えしていきます。
話を聞く技術その3.単純相槌
へぇー ほぉー それはおどろいた たしかに なるほど それは納得だ 知らなかった おお いわれてみれば いいことを聞いた 明日から使えそうだ etc
相槌で最も使う機会が多いのがこういった一言の単純相槌です。
単純相槌を行う上で気を付けていただきたい点があります。
それは上の空で「なるほど」だけ繰り返しているだけでは効果がないということです。相手の話に関心を持ってバリエーション豊かに相槌を打つことが大切です。
ただし、いくらいい相槌でも、相手の話がまだ途中の段階で話をさえぎり相槌を打ってしまってはまったく意味がありません。
相手の話の行間を読み取り適宜あいての話にそった相槌を打つように心掛けましょう。
話を聞く技術その4.要約
相手の話を聞き、理解したことを要約して反応をうかがうという事も相槌としてとても効果的です。
「この話は○○ということですか?」
「察するにAとBの両方を主軸としていきたいということででしょうか?」
要約の注意点は多様は禁物だということにつきます。
相手が本当にこちらに伝えたい内容だなと感じ取った時に使用すれば効果は抜群ですが、要約を多用されると相手はこばかにされているように感じてしまうことでしょう。
それでは折角築いたラポールが崩れてしまう恐れがあるためおすすめ出来ません。
話を聞く技術その5.相手の気持ちをくみ取った相槌
「へぇー、それは大変だね」「なるほど、かなりびっくりしたでしょう。」「たしかに、とてもうれしい出来事だね」「おお、こっちまで感動してくるよ」「いやー、手に汗握る話だわ」
上記のような相槌は、相手の気持ちに同調しているということが相手に伝わる相槌です。
この相槌を行うことにより、あなたと話し相手は精神的な一体感を共有し、よりラポールは強固なものとなっていくでしょう。
集中的傾聴で話を聞くことにより、相手の機微の感情の変化や、考えの変化が読み取れるになってきます。
相手の気持ちに同調したら、単純相槌のあとに相手の気持ちにそった一言をそっとそえるだけで構いません。
話を聞く技術その6.バックトラッキング
バックトラッキングとは話し手の言葉を相槌の時に反復することです。
例をあげます。
相手 「最近、寒くて朝起きるのもつらいよね」
あなた「たしかに朝起きるのがしんどいね」
このように相手の言葉を反復することで相手はしっかりと話を受け止めてくれているのだなと安心して話せます。
要約のスキルと同じように使いすぎてしまうと逆効果ですので、適度に使用するよう心掛けて下さい。
4つの質問
質問のスキルとは会話を成り立たせるうえでなくてはならない要素です。それぞれ具体的に説明していきましょう。
話を聞く技術その7.過去質問・未来質問
相手の時間軸を切り替えていく質問です。
これまではどうだっただろうか?という過去に対する質問が過去質問です。今後どうしていこうか?というこれから先のことを引き出す質問が未来質問となります。時間軸で相手のイメージを切り替えていくことで、イメージの中にある感情を会話に引き出していく効果があります。
過去の失敗や、未来の不安について話を引き出すと負の感情が、過去の成功や未来のよりよい成果について質問すると正の感情が生まれます。
より円滑にコミュニケーションを進めるのであれば、過去質問であれ、未来質問であれ、負のイメージを引き出さないような質問に限定していくべきでしょう。
部長と部下のやり取りからみる過去質問・未来質問
例を上げてみましょう。
部長「君が半年前に成功した企画を立ち上げた時はどのような気持ちだった?」(過去質問)
部下「はい、とにかくがむしゃらにやって成果を出しました。」(モチベーション↑)
部長「今回のプロジェクトは君ならどのようにして成功に導いていくべきだと思う?」(未来質問)
部下「はい、前回のプロジェクトと今回のプロジェクトでは規模は違いますが、前回と同様にまずはマーケティングに力を入れていくべきだと考えています。」
時間を超えた質問はダイレクトに相手の感情に対して触れることが出来るため、うまく使えば相手のモチベーションを上げ、相手からよりよい話を引き出す効果があります。
話を聞く技術その8.限定質問・拡大質問
限定質問
限定質問とは相手が一言でこたえられるような質問をさします。
たとえば、
- 「お住まいはどちらですか?」
- 「今日はいい天気ですね?」
- 「午後からどこを回ってくるんですか?」
などが限定質問にあたります。
相手が深く考える質問ではないため、とても気が楽な質問です。
拡大質問
拡大質問とは相手が考えなくては答えられないような質問であり、その後の会話の糸口となる質問です。
- 「例えて言うとどんなかんじですか?」
- 「なにが問題なのですか?」
- 「どう対処しようと思っているのですか?」
などが拡大質問にあたります。
この質問は相手が考えて出した話から会話が広がっていくというメリットがあります。
しかし、一般的な会話で拡大質問にばかり偏ってしまうと相手がインタビューでも受けているかのように感じてしまい居心地が悪くなるケースもしばしば見受けられます。
会話を自然に回すためには、バランスよく、限定質問と拡大質問を繰り返していくことが理想的です。
話を聞く技術その9.否定質問・肯定質問
文脈に「~ない」が入っている質問が否定的質問で、文脈に「~ない」が入っていない質問が肯定的質問となります。
同じ質問をしても「~ない」が入っている、いないで相手に与える印象は大きく変わってきます。
否定質問・肯定質問の例
例を上げて行きましょう。
- 「どうして出来ないの?」(否定質問)
- 「どうやったらできるようになるかな?」(肯定質問)
- 「なんで時間通りにこないの?」(否定質問)
- 「どう工夫したら時間通りに来れると思う?」(肯定質問)
否定質問は相手に理由を聞いていますが、相手に返答の余地はありません。上記のケースでは質問者が求めているのは相手の謝罪のみだからです。
一方、肯定質問はどうでしょうか?今後相手がどうしたら問題を起こさないようになるかを相手に質問しています。
肯定質問をされたケースでは同じ問題を起こさないようにするにはどうしたらいいのかを本人に考えてもらう効果が期待できます。
話を聞く技術その10.5W1H-W
一般的に会話をするうえで大切だとされているのが5W1Hです。
When(いつ)Where(どこで)Who(だれが)What(何を)Why(なぜ)How(どうやって)
それぞれ、質問するうえでとても大切な言葉だとお感じになるのではないでしょうか?
しかし、この中には相手の話を聞く上でそぐわない言葉があります。タイトルのとおり5つのWのうちからどれかを取る必要があります。
是非とも考えてみてください。
攻撃的質問
わかりましたか?では答えをお伝えしますね。
答えはWhy(なぜ)です。なぜをつけると相手は理由を問われていると感じ萎縮してしまう効果があるからです。
ようは攻撃的な質問になってしまうということです。
攻撃的な質問にならないようにするためには、なぜという言葉を使わない聞きだし方をすればよいのです。
どのようにするかというと、なぜをなにに置き換えるだけです。
これだけで質問のニュアンスがとても柔らかくなるので覚えておいて下さい。
なぜとなにを置き換えた例
- 「なぜ、こう思うんですか?」(攻撃的質問)
- 「なぜ、まだ時間がかかるんですか?」(攻撃的質問)
- 「こう思う理由は何ですか?」(なぜをなにに置き換えた質問)
- 「まだ時間がかかる理由は何が原因でしょう?」(なぜをなにに置き換えた質問)
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3.視点変換のスキル‐相手の視点を劇的に変える聞き方
4.数値を活用した拡大質問 相手の答えを明確化していく方法
5.【俯瞰のスキル】全体から現状を把握する聞き方
6.【設問のスキル】哲学的な深い問いを投げかける事で内省を促す質問
まとめ
今回の記事では話を聞く上で初歩的な内容をまとめました。ただし、初歩的な内容とはいえ、話を聞く上で土台となるとても大事な考え方です。
話し上手な人よりも、聞き上手な人に人や仕事は集まってきます。なぜなら人は皆自分の話がしたくて仕方がないからです。
それに対して本当の意味で話を聞くことが出来る人はごく少数です。ということは、聞き手の需要がとても高いということです。
人も仕事も集まってくるということは、必然的にリーダーシップが身につき、チャンスも舞い込んでくる確率が高くなります。
人が出来ないことにはお金に変えられないほどの価値があるということです。
ここに紹介している基本的な内容だけでコミュニケーションの質が格段に上がります。話を聞くというスキルに磨きをかけて是非ともあなたにとっての成功を手に入れてください。
参考文献
- コーチング・バイブル第3版本質的なコミュニケーション ヘンリー・キムジーハウス キャレン・キムジーハウス フィル・サンダール BEST SOLUTION
- コーチングの技術 菅原裕子 講談社現代新書
- 上手な聞き方が身につくスキル 宮崎聡子 あさ出版
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