- Q今回の記事で学べる内容はなんですか?
- A
今回の記事で学べる内容は人とうまく信頼関係を築く4つの技術をお伝えさせて頂きます。コーチングのプロの視点から人と信頼関係を構築する上でもっとも重要度の高い技術を分かりやすく説明していきます。
今回の記事でお伝えする内容は
- 思い込みのフィルターをチェックする
- NOを伝える
- 相手の心に寄り添う
- 対等のコミュニケーションを心掛ける
となります。それぞれ具体的に説明させて頂きます。
この記事を最後までご覧いただく事で人との信頼関係を築く事の出来る土台を身に着けることが出来ます。初対面の人とも深く信頼関係を構築する事も、既存の人間関係を改善していく事も可能となります。
あなたが関わる多くの人と強固な信頼関係を築く4つの技術
人と信頼関係を築く力はある種の技術です。技術だからこそ磨けば必ず上達して行きます。信頼関係を築く力は生まれ持った能力に左右されるものではありません。
後天的に身につけられる技術だからこそこの力は今からでも強化していく事が出来る能力なんです。
そのための重要な要素が下記の4つとなります。
- 思い込みのフィルターをチェックする
- NOを伝える
- 相手の心に寄り添う
- 対等のコミュニケーションを心掛ける
それぞれ具体的に見て行きましょう。
1.思い込みのフィルターをチェックする
人は過去の経験則や記憶によって、相手に対して思い込みのフィルターを持って接してしまう生き物です。この思い込みのフィルターは根拠のない経験則や記憶から勝手に作られてしまうのですが、その威力は大きいものです。
- この人は線が細そうだから内気なタイプだろう
- この人はO型だからこういう正確だろう
- 声が大きいからガサツな人だろうetc
面白い事に人は無意識のうちに与えられた役割を演じてしまう傾向が心理学的にあるそうです。あなたがこういう人だろうと思い込みを持って接するだけで、相手はあなたの思い込み通りの自分を無意識のうちに演じてしまいます。
思い込みを持ってしまうと、ありのままのその人ではなく、思い込みの上でのその人としか関係を結べないため、本当の意味で信頼関係を築くことは出来ません。
では、どうするか?
効果的な方法は相手と話をしている時に自分自身に『この人に対して思い込みを持っていないか?』と自問自答して見ることです。
たったこれだけの事を意識するだけで、思い込みにフィルターの濃度は薄まっていきます。
アウェアネスとは自分の意識に気付く事を指します。下記の記事ではそんな自分の思い込みに気付くために記事をまとめさせて頂きました。思いこみのフィルターの精度を上げたい方はぜひご覧ください。
2.NOを伝える
『信頼関係を築く方法にもかかわらず相手にNOを伝えるの?』とあなたはお感じになられたかも知れません。信頼関係を築くとは両者とも対等な関係を指します。信頼関係を築くために自分を犠牲にしようとすれば、その時点で両者の信頼関係を築くことは出来なくなってしまいます。
相手の顔色を窺って絶えずイエスばかりを繰り返していると、あなたは相手に対して窮屈な思いを感じてしまうでしょう。そして相手はあなたが何でもいう事を聞いてくれる人だという認識を持ってしまうかもしれません。
心理学的に相手にNOを伝える事が出来ないということは、相手と自分との間に境界線が引けていない状態を指します。このような状態では相手にとって都合のいい人になってしまいかねません。そうなると、次から次に相手の都合につきあわされ続けてしまうのです。
しかも、境界線を引けていない状態だと相手に感謝されることもなく都合のいい存在として延々と時間と労力を搾取され続けてしまうのです。相手にとって都合のいい存在、断れない存在とみなされた場合、その相手と信頼関係を構築する事は出来ません。
人と信頼関係を築くうえで重要なのは相手にとって都合のいい人になる事ではありません。例え上司と部下であったとしても心理的に対等な存在になることが大切なのです。そのためにはしっかりと相手との間に意識的に境界線を引く事なのです。
では、人との間に境界線を引くにはどうすればいいのでしょうか?最初にお伝えさせていただいたように自らの考えと違う場合にはっきりとNOを伝える事で徐々に解決して行きます。相手に対してNOを言う事が出来るようになると、相手と心理的に対等な関係になるため、信頼関係が築かれて行くのです。
私はNO筋と呼んでいますが、このNO筋は使えば使うほど鍛えることが出来る能力なのです。初めから大きなことにNOを突き付けるのではなく、意識的に小さなことからコツコツとNOを伝える訓練をして行くとNO筋はどんどんと鍛えられていきます。
あなたにとって小さなNOを少しずつ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?より具体的にNO筋を鍛える方法については下記の記事に書かせて頂きましたので併せてご覧ください。
3.相手の心に寄り添う
信頼関係を築く上で相手の心に寄り添う事はとても大切な事なんです。私達プロのコーチが提供しているコーチングではクライアントの方の心に寄り添う事を常に意識し続けています。
クライアントの方の話を聞きながら、クライアントの方が見ている景色や光景に想いを馳せ、同じ景色や光景を感じる事に意識を集中させて行きます。相手の心に寄り添う事で自然と相手の心の景色や光景が見えてくる事が出来るようになります。
そのような関わり方を身に着けるには、相手の話に深く耳を傾けて行く傾聴を習得することがおすすめです。具体的な傾聴のトレーニング方法に関しては下記の動画にて詳しくお伝えさせて頂きましたのでご覧ください。
下記の記事では傾聴について具体的なやり方を踏まえお伝えしておりますのであわせてご覧ください。
4.対等のコミュニケーションを心掛ける
例えばあなたが目上の上司に対して
- 『よく頑張りました』
- 『偉いですね』
- 『次目標を達成したら褒めてあげます』
などと言ったらどんな顔をされると思われますか?おそらく、不快な反応しか返って来ませんよね。
それは、先ほど例に挙げた言葉が相手を評価・判断する上下のコミュニケーションだからです。このコミュニケーションは目上の人が目下の人に対して使う典型的なコミュニケーション方法です。ここで、考えていただきたいのですが、あなたは例え目上の人からであっても上下のコミュニケーションで話しかけられることに不快感を感じませんか?
上下のコミュニケーションは別名対立のコミュニケーションと言われています。理由は、人は例え目上の人であれ大上段から物を言われることに心理的に拒絶を示すからです。この心理的働きを心理的リアスタンスといいます。
コーチングでは対立のコミュニケーションは絶対に使いません。コーチが対立のコミュニケーションを使っていたらコーチングは成り立たないからです。コーチングでは横のコミュニケーションを重視しています。別名、対等のコミュニケーションと呼ばれているものです。
対等のコミュニケーションには、『アイ・メッセージ』と『ユア・クエスチョン』があります。それぞれ別記事で詳しくお伝えしておりますので引用させて頂きますね。
アイ・メッセージ
アイメッセージ
私を主語としたメッセージをアイメッセージ、あなたを主語としたメッセージをユーメッセージと言います。アイメッセージが自分の気持ちを相手に伝えることで、気持ちを共感しやすいのに対し、ユーメッセージは相手を攻め立てるニュアンスに聞こえるため対立を生みやすいのです。多くの人は相手を非難する時にユーメッセージを使います。これでは対立を生むだけで建設的な解決策は生まれません。瞬間的な怒りが出た時でも、客観的に物事を振り返り、アイメッセージで伝えることを意識すれば自分にとっても相手にとってもよりよい結果が生じてくるでしょう。
先ほどの例をアイメッセージで考えて見ましょう。客観的に物事を振り返ることで、「いうことを聞かないのは自分に何か伝えたいことがあるかも知れない」と分析したとします。
その場合、アイメッセージで、「(私は)最近いうことを聞いてくれなくてとても悲しいの。なにか私に伝えたいことがあるの?」とでも聞いて見たとしたらどうでしょう?
おそらく、「(あなたは)なんでいつもいったことが出来ないの(怒)」というよりも、はるかに相手の心に自分の気持ちが伝わることはお分かりいただけるのではないでしょうか?そして、気持ちが伝わるからこそ、相手は否定的な反応ではなく、肯定的な反応で答えようとしてくるでしょう。
怒りを客観的に分析し、アイメッセージで伝えるよう心掛ければ、人との対立はおのずと減少していきます。その結果、精神的にも穏やかな日々が続いていくでしょう。
身を焦がす強烈な怒りをゆるやかにコントロールする5つの方法
ユア・メッセージ
人の心に耳を傾けるといっても、どのような聞き方をすればいいのかあなたは戸惑ってしまうかもしれません。
そんな時にはユアクエスチョンを意識してみて下さい。
あなたはを主語にした質問ということです。当然、日本語で毎回主語を口には出せませんよね。
なので、冒頭に(あなたは)とかっこ閉じで付けられる質問にしてみて下さい。
さきほどの事柄の質問の場合、「(あなたの)良く行かれる国はどこですか?」になってしまいますよね。
一方、先ほどの心に耳を傾けた質問の場合、「(あなたは)海外出張で最も印象に残っている出来事ってなんですか?」になりますよね。
ほかにも、
「(あなたは)どこの国が最も好きですか?」
「(あなたは)どんな経験をしてきたんですか?」
「(あなたは)どのような人たちと巡り合ってきたんですか?」
などでもかまいません。どれも相手の心に耳を傾ける聞き方なので、相手はとっても楽しく話をすることが出来ることでしょう。
話の聞き方をマスターしてより多くの人と信頼関係を築く方法
このほかにも対等のコミュニケーション術として相手と対立をうまないコミュニケーション術非暴力コミュニケーションもおすすめです。非暴力コミュニケーションについては下記の記事をご参照ください。
まとめ 信頼関係を築く最終奥義
最期になりますが、信頼関係を築く上での最終奥義は、人を1人の人間として尊重して接することです。自分自身が相手を1人の人間として尊重して接することで、自分自身の心の壁は消えていきます。当然、心の壁が消えれば相手の心の壁も消えていくものです。
相手が心の壁を作っている時は、通常、自分自身も心の壁を作っている状態です。互いに心の壁を作っている状態では信頼関係を築くことは出来ません。だからこそ、自分から心の壁を取り払う努力をすることが重要なのです。
そのためには、たとえどんなに苦手な人でも自分から心の壁を取り外す努力をしてみることが大切です。とはいえ、ひとりの人間として尊重するのは難しいという人も中にはいることでしょう。その場合は、ひとつ強力な方法があります。
それは、相手があかちゃんから今に至り、死を迎えるまでを想像してみることです。相手の中にもドラマがあり、家庭があり、愛があり、悲しむ人もいる。そのようにして、壮大な人間の物語を想像すると、嫌な相手でも少しは気が変わってくるものです。
この少しが心の壁を崩して信頼関係を築く上で大きな一歩となっていくことでしょう。よろしければ、相手を1人の人間として尊重して接するよう意識をし続けて見て下さい。
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参考文献
自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー・インスティチュート 大和書房
四つの約束 ドン・ミゲル・ルイス コスモス・ライブラリー
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