コーチング理論を理解し実生活で有意義に活用して行く方法

コーチングの理論と実践
Q
今回の記事で学べる内容はなんですか?
A

今回の記事では実践ですぐに使えるコーチング理論についてお伝えさせていただきます。

コーチングは何も特殊なコミュニケーションスキルではありません。
ちょっとしたコツを抑えることが出来れば誰しもが使いこなせることが出来るものです。

プロのコーチのようにあらゆる場や人に対応する技術となると、もちろん身に付けるまで時間はかかってしまいます。しかし、日常生活で使用するレベルであれば比較的簡単に誰しもが身に付けることが出来る技術です。

コーチングの技術を日常のコミュニケーションに使う事の利点をあえてひとつ挙げるとするならば、コミュニケーションの達人になれるというところでしょうか。

この話を聞いて「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。コーチングとはそもそも人を伸ばしていったり、問題を解決していったり、才能を引き出していったりするのではないのかと。

もちろん、コーチングのスキルを使えば上記の事は出来るようになります。
しかし、これらはコーチングの一部です。

コーチング理論を身に付けることが出来れば、これらを統括したコミュニケーション能力全般を大幅に底上げすることが出来るのです。

コーチング理論を知り、さらにコミュニケーション能力を向上させたいなら今回の記事は必ずお役にたてるものだと考えております。

この記事を書いた人

こんにちは、自己実現ラボの坪井一真です。私は国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格を持つプロのコーチとしてビジネスパーソンやアスリートのコーチングに従事しています。

また、1日10時間の瞑想を10日間、誰とも話さずに行うヴィパッサナー瞑想を5回も経験し、個人的な瞑想時間は累計で4000時間以上

これらの経験から得た知識や洞察を基に、自己実現ラボではセルフアップデートをメインテーマに、読者がその日から変化できる内容をお届けしていきます。

私のコーチとしての経歴について詳しくはCTIのコーチ紹介ページからご覧ください。

□シードコミュニケーションズ株式会社代表
□国際コーチ連盟認定資格 Professional Certified Coach(PCC)
□米国CTI認定CPCC®(Certified Professional Co-Active Coach)

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Ⅰ.コーチングにおける心構え

この章ではコーチングの技術をお伝えする前に、コーチングにおける心構えをお伝えさせていただきます。心構えを知っていただくことで、人と信頼を築いていくために、必要な要素をご理解いただければと思います。

ヒーローインタビュー

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Photo by Terje Sollie on Pexels.com

コーチングとはヒーローインタビューそのものです。どういうことだ?とお感じになられたかもしれませんので、もう少し具体的にご説明させていただきますね。

コーチングではクライアントをただの人として接することはありません。目の前のクライアントは人生の主人公であり、ヒーロー、ヒロインであると認識することから始まります。

なぜならコーチは人の可能性は無限大だと確信しているからです。
目の前に無限大の可能性を秘めたクライアントがいるのですから好奇心でいっぱいです。

クライアントの可能性を信じて疑わないからこそ、クライアントも自分の可能性を信じることが出来るようになるのです。

この技術は通常のコミュニケーションにおいても重要な資質です。

人と接する時に好奇心を持つと自然と相手は、好意を寄せてくれるものです。自分自身という存在を認めて、注目をしてくれるという人はそうはいないので特別な存在として認識されるようになります。

この意識の差だけでも自分自信がいつもしているコミュニケーションよりもはるかに信頼関係が築けることを実感していただけると思います。

自信を持つ

brave doctor in flying superhero cape with fist stretched
Photo by Klaus Nielsen on Pexels.com

コミュニケーションをする時に自信を持つことが大切です。

心理学者のアルバート・メラビアン博士は、話し手が聞き手に与える影響がどのような要素で形成されるか測定しました。
その結果、話し手の印象を決めるのは、「言葉以外の非言語的な要素で93%の印象が決まってしまう」ということがわかりました。

視覚情報 (Visual) – 見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線 …55%
聴覚情報 (Vocal) – 声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポ …38%
言語情報 (Verbal) – 話す言葉そのものの意味 …7%

実は、言語的な部分は1割にも満たない、7%しか相手に伝わらないのです。

これからコミュニケーション能力を向上させようと思っている方には、上記の資料に驚かれるかもしれません。

実際、相手の印象を左右してしまう要素の93%は、言葉以外のノンバーバルコミュニケーションによる影響によるものだからです。

だからこそ、自信を持って相手に接していくことが大事なのです。
自信を持って接することで言葉に対する信頼性がいくらでも上がってくるからです。

自信をつける最短の道はセルフイメージを高めることです。詳しくは下記の記事をご覧下さい。

ノンバーバルコミュニケーションを身につけたい方は下記の記事もおすすめです。

肯定的に受け止める

person doing thumbs up
Photo by Donald Tong on Pexels.com

コミュニケーションで信頼関係を築く基本は相手の話を受け止める事です。

【人は自分の話をないがしろにされると心の扉をシャットダウンしてしまいます。】
にも関わらず多くの人は相手の話をないがしろにしてしまうのです。

では、相手の話をないがしろにせずに心の扉を開いた状態でいてもらうためにはどのように接していくべきでしょうか?

それは相手の話を肯定的に受け止めることなのです。
「それだけ?」と思われるかもしれませんが、効果は保障します。

たとえば、自分のすべての話を否定されて聞かれたらどうでしょうか?
きっと心穏やかでいられないと思います。

逆に自分の話に対して、すべて肯定的に受け止められたら、話をし続けるのが楽しくてしかたがなくなってくるでしょう。

「それで」「具体的に」「ほかには」「いいですね」

上記のような相槌を話の要所要所で打たれたら人は自分の話が真剣に受け入れられているということを理解し気持ちが良くなってくるのです。

そして、自分の話を真剣に聴いてくれた相手に対して信頼を寄せ始めるものです。

下記の記事は相手の話を肯定的に受け止める上でとても効果的な技術をお伝えしています。ご興味のある方は合わせてご覧ください。

基本は+1ステイト

コーチングの基本は+1ステイトです。
ステイトとは状態の事を指します。
相手よりも一歩分状態を進めるということです。

どういうことかと言いますと、相手がポジティブな話をしていたら、相手よりもテンションを一歩分あげて返答します。逆に、相手の気分が落ちていたら、相手よりもテンションを一歩分だけ下げて返答します。

なぜ、このようなことを行うかと言えば、共感していることをあいてに示すためです。

人は例え相槌をうてるロボットに話をしても、話をし続けることは出来ません。なぜなら、ロボットには感情がないからです。共感とは感情を共有することと定義されています。

しかし、感情を共有しているということが相手に伝わらなければ共感は生まれません。

そのため、相手の話を引き出しやすくするためには、相手よりも一歩だけ状態を進めることが有効となるのです。

Ⅱ.目的論

目的論

コーチング理論ではアドラー心理学の目的論が理念の柱として取り入れられています。
目的論とは端的に言うと「人間の行動には目的がある」という考え方です。

コーチングの源流であるアドラー心理学について詳しく知りたい方は【アドラー心理学入門】人を必ず成功に導く21世紀の劇薬アドラー心理学とは?をご覧ください。

ダメな行動や取りたくない行動をしている場合は、自分にとって好ましくない目的をもっているという考え方です。

一方、対極にある考え方がユングの「原因論」となります。
原因論を端的に言うと、「原因があるから結果がある」という考え方です。

うまくいかない時や、問題が起きた時に、原因を追究し、原因を改善していくのが原因論です。

前者はコーチングとしての根底にある考え方に対し、後者はコンサルタントの根底にある考え方だと言えるでしょう。

目的論的アプローチ

目的論的アプローチとは「未来をどうしていくか?」という目的に沿ったアプローチです。

コーチングでは人をあいてにしているため、原因論的な考え方では支障をきたしてしまいます。
理由は、人の過去に戻って原因を取り除くことなど誰にも出来ないからです。

原因を知ったとしても、その原因を取り除くことが出来なければ何も意味をなしません。
医者にかかって薬も対処法も教えてもらえず「風邪です。」とだけ伝えられるようなものです。

人の過去の原因をいくら分析しても原因を取り除くことが出来ない限り、原因論に沿ったアプローチでは人は前に進むことは出来ません。

原因論的なアプローチとは、

「なぜそうなったの?」

「どうしてそういうことをしたの?」

「どこが悪いの?」

などです。

コーチング理論ではこのような過去の原因を追究する質問を使いません。
原因を追究しても意味をなさないことを理解しているからです。

では、コーチング理論ではどのようなアプローチをするのでしょうか?
それは目的論に沿ったアプローチです。

目的論的アプローチとは

「どうしたらそうならないかな?」

「何をすればそういうことをしなくなるのかな?」

「どうなればいいのかな?」

などです。

原因論的アプローチが原因を追究しているのに対して、目的論的アプローチはとらえ方を変えることに専念しています。

未来を「どうしていくか?」という目的にそった質問をしていくのです。
背景として過去は変えられないけれども、未来は変えられるという考え方があるためです。

Ⅲ.簡単な練習方法

簡単な練習方法

ここまでお伝えしてきたことを踏まえた上で、コミュニケーション能力を向上する簡単な練習方法をお伝えしていきます。

基本的に笑顔で+1ステイトを心掛けながら行って下さい。

1分間コーチング

①この○○はどれくらいやってるんですか?

②やってて良かったことは?

チームフローというコーチ養成スクールの1分間コーチングという簡単な練習方法です。
このやり方をお伝えするのは誰にでも出来て、手軽だと感じたためです。

コーチングの初期の練習にはもってこいだと思います。
知人でも友人でも、知り合いにでも様々な人に自然に話しかけられる方法ですのでお試しください。

まずは①を聞いて、スムーズに②に入っていきます。

良かったことがある場合

相手のテンションより+1ステイト明るく話を引き出していきます。相手に伝える言葉は3つだけです。

  • 具体的に教えて下さい。
  • 他には?
  • いいですね。

最後に「ありがとうございました。お話を聞けて楽しかったです」と明るく締めます。

良かったことがない場合

相手のテンションより+1ステイト真剣に話を引き出していきます。
相手に伝える言葉は先ほどと同じく3つです。

  • どんな時に大変なんですか?
  • 他には?
  • それは大変ですね。

最後に「ありがとうございました。お話を聞けてとても勉強になりました」と明るく締めます。

3つの質問を覚えるだけでもコミュニケーション能力が飛躍的に高まる

コーチングを少しでも勉強しようとすると、質問をすることにだけに意識を集中してしまう人は多いものです。英単語のように質問を暗記しても、知識は増えるでしょうが、実際に使いこなすこなすのは難しいものです。

それよりも、実際のコミュニケーションでひとつひとつ、相手の話を引き出していく質問を体験を通して身に付けていくほうがはるかに早く身につきます。

1分間コーチングの言葉は通常のコーチングでも頻繁に使う言葉のため、まずは練習を積み重ねて自在に使いこなせるようになるだけでも大きな戦力アップになります。

じっくりと練習を積み重ねて物にしてみて下さい。

併せてコーチングスキルをあっという間に身に着けてコミュニケーションの達人になる方法!をお読みいただくことでよりコーチングについて知識が深まることでしょう。よろしければご覧ください。

Ⅳ.人生の輪

人生の輪について動画にてまとめさせて頂きました
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人生の輪とは上記の画像の事です。コーチが実践で使うツールのため、使いこなせるとどのような状況でも大いに役に立ちます。

人生の輪では特に目的論を意識して質問を積み重ねていくことが大切です。それでは具体的に使い方を見ていきましょう。

点数の付け方

人生の輪の点数の付け方は主観的な尺度で付けてもらいます。
点数は一般的に10点満点で付けてもらいます。

10点なら外側のふちまで塗りつぶしてもらいます。
1点なら1点分塗りつぶしてもらいます。

そして、すべての項目を塗りつぶして出来上がった輪がその相手の人生の輪ということになります。

もっとも理想的な状態は大きさよりも均一さです。
自分の人生のバランスが取れていることの表れだからです。

コーチとしては極力人生の輪のバランスが良くなるように、相手に対して長期的なスパンで関わっていきます。

満足している分野に関しての質問

まずは相手から気持ちよく話を引き出していくために、相手が満足している分野について聞いていきます。

質問例

「具体的にこの分野の何がいいかんじですか?」

そして、1分間コーチングで学んだ言葉を続けていきます。

  • 具体的に教えて下さい。
  • 他には?
  • いいですね

よりよくしたい分野に関しての質問

次に将来に向けてよりよくしていきたい分野を1つに絞って聞いていきます。

質問例

「具体的に何か不満なところでもあるんですか?」

「とはいえできてることはありますか?」

ここでも1分間コーチングで学んだ言葉を続けていきます。

  • 具体的に教えて下さい。
  • 他には?
  • いいですねor大変ですね。

最後に現状を俯瞰する質問を投げかけ、相手に客観的に事実を分析してもらいます。

質問例

「ここまで口にしてみてどうですか?」

よりよくしたい分野での目的論的アプローチ

最後に、よりよくしたい分野に対して目的論的アプローチをしていきます。

質問例

「本当は何点になるのが理想的だと思いますか?」

「今より1点プラスってどんな状態ですか?」

「そのためにどんなことが出来そうですか?」

ここでも1分間コーチングで学んだ言葉を続けていきます。

  • 具体的に教えて下さい。
  • 他には?
  • いいですね

ここでの質問は臨機応変に変えていってください。
とはいえ、難しいことではありません。

例えば、3点の人が10点をいきなり目指すとなるとアイデアが出てこないかもしれません。

その場合、よりアイデアが出やすい点数はどのくらいかを認識し、質問していくことで相手の精神的なゆとりが変わってきます。
ここら辺は相手の応対を見ながらの対応になります。

ただし、人生の輪というツールを使っていれば、質問にこだわる必要はありません。自然と状況にあった質問が浮かんでくるはずです。

まとめ コーチング理論を理解し実生活で有意義に活用して行く方法

本日はコーチング理論としての基本的な導入部分から人生の輪というツールを使った本格的な実践方法をもお伝えしてきました。

人生の輪はコーチの頻繁に使うツールのため、このツールひとつでも使いこなせれば、かなり質の高いコーチングが実践できるようになります。

また、1分間コーチングの3つの言葉はコーチが最も良く使う言葉となります。

これらの言葉をまずは使いこなせるようになるだけでも、コミュニケーション能力の向上はおろか、コーチング能力も飛躍的に向上します。

いくつもの質問を記憶するのではなく、このように頻繁に使う言葉を自分のコミュニケーションに取り組んでいくことこそが最も効果的な方法だと思います。

今後はより深いコーチングの技術に関してもお伝えしていくつもりですが、本日の記事の内容が土台となってくると思います。

もし、コーチングを覚えてみたいという方は、まずは練習を通して3つの言葉を覚えてみて下さい。

よりコーチング力を伸ばしたい方は下記のカテゴリから必要な記事をご参照下さい。

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