人生の輪とは自分の現状を分析できるコーチングでよく使われるツールのひとつです。一見シンプルでこれといった特徴もなさそうなツールですが、どの自己分析ツールよりも自らの内面を映し出す鏡のような役割を果たします。
自分の人生の満足度を主観的に数値に落とし込んで行き、輪に書き出して行く工程が人生の輪の特徴です。自身がどこに満足していて、どこが足りないのかが図に書き出して行く事で一目瞭然になっていきます。
自らが無意識的に目を背けてきた部分まで、この輪の中には反映されてしまうのです。
コーチングの語源は「Coach」から来ています。「Coach」とは「馬車」という意味があります。ようは「お客様を望むところまで送り届ける」という意味を持っています。そして「クライアントが望む目標達成をサポートする」という現在のコーチングの考え方に行き着くわけです。
人生の輪とはまさに馬車でいう車輪です。
いびつなものであれば、目的地を目指そうにもずっと馬車の中はガタガタと揺れ続けてしまい、乗り続けて行く事は困難になりますよね。逆にいくらバランスが良くても車輪が小さければ目的地にたどり着くのに膨大な年数を費やしてしまいます。
だから、コーチングではこの人生の輪をバランスよく、大きくメンテナンスしていく事で、目的地に快適に到達出来るようにサポートをして行くのです。
本日はそんな人生の輪を使い、あなたが自らを分析していき、メンテナンスが出来るようになっていく方法についてお伝えして行きますね。
第1章 セルフチェックの決定版-人生の輪のとっても効果的な使い方
人生の輪の書き方

人生の輪は主に下記の8つで構成されています。
- 仕事・キャリア
- お金・経済
- 健康
- 家族・パートナー・恋人
- 人間関係・友人・知人
- 学び・自己啓発
- 遊び・余暇
- 物理的環境
これらを10段階評価の満足度を主観的に書いて行きます。大きい数になるほど外側の輪が広がっていくように書いて行きます。
そして、この人生の輪では何かが突出して高いという事は重視していません。全体のバランスと大きさを認識していく事が大切です。そして、全体の輪のバランスを整え、大きく広げて行く事が人生の輪を書きだした後にしていく重要なことなのです。
それぞれ何を書くか詳しく見て行きましょう。
仕事・キャリア
現状の仕事やキャリア設計に対しての満足度を表します。自分が好きな仕事を出来ているか?理想とするキャリアを歩めているか?という視点から10段階評価をしていきます。仕事・キャリアは人生の大半を占めるとても大切な部分です。
お金・経済
現在の収入と支出、貯蓄に対しての満足度を表します。主観的な満足度のため、金額の多い少ないではありません。ご自身の満足度がどのくらいなのか?を数値化していきます。そうすることで、自分のお金に対してのこだわりや考え方の癖を客観視する事が出来るようになって行きます。
健康
心の健康と身体の健康の両方の側面を振り返り数値に落とし込んで行きます。心身共に自身の健康度を振り返る事で、自分が健康に対してどのように向き合ってきたかという事が理解出来てきます。健康はすべての基盤となる部分です。自身の健康度を把握することはとても重要です。
家族・パートナー・恋人
家族・パートナー・恋人との関係性の満足度を表します。あくまで主観的な数値となりますので、例え独り身だったとしても現状に満足をしていれば点数は高くなりますし、家族に囲まれ満足をしていたはずなのに実は虚しさが出てきたという場合などは点数は低くなります。自らの拠り所となる場にどのくらい満足しているかが分かります。
人間関係・友人・知人
周囲の人間関係の満足度を表します。家族・パートナー・恋人同様に主観的な数値となります。ただし、こちらはより広範囲にわたる交友関係になりますので、その中での平均値を数値化して行きます。会社の人間関係が悪くても友人関係がよければ5など平均値を出して行きます。
学び・自己啓発
学びと自己啓発にどれほどの労力と時間を投資しているか?に関しての項目になります。例えばコーチングを学びたいのだけれども、金銭的に負担がかかってしまうので見送っているなどの場合は学びたいけれども学べない状況のため数値は低くなってしまうでしょう。
遊び・余暇
遊び・余暇とはどのくらい自分の余暇活動に満足しているかを表します。仕事ばかりをがむしゃらにやり続けてしまう人は、健康や遊びをおろそかにしてしまうなどもあるでしょう。そうなると、遊び余暇の数値は低くなり、人生の輪はいびつな形になってしまいます。結果として人生そのもののバランスが悪くなるのです。あなたは遊びや余暇を犠牲にしない生き方を出来ていますか?
物理的環境
物理的環境とは職場や住まいなどあなたが身を置いている環境の満足度を指します。いくら住んでいる所が快適でも、通勤時間に2時間以上かかってしまうようでしれば数値は低くなってしまうでしょう。あなたにとって物理的環境の平均値を出して行きます。
人生の輪は今のあなたの人生における車輪
人生の輪とはまさに人生そのものです。人生の輪はタイプ別診断法などのようにどこか突出しているといいというものではありません。どこかが突出してても、全体のバランスが悪ければあなたの人生という馬車の乗り心地は極端に悪くなってしまうのです。
例えば、仕事一筋の人で家庭を顧みない人を考えてみましょう。その人は「仕事・キャリア」と「お金・経済」はいいかもしれませんが、「家族・パートナー・恋人」や「健康」や「遊び・余暇」の数値を犠牲にしていたらどうでしょう?
人生の輪はいびつな形になってしまいますよね。これでは人生の車輪としては乗り心地はたまったまものではありません。どこかを突出させる事でどこかを犠牲にしているのであれば、突出した部分に費やすエネルギー値を減らし、低い部分に割いて行く時間を増やして行く事のほうが大切ではないでしょうか?
このように自らの人生のバランスを振り返り、その上で今後どのように車輪をバランスよくしていくかを考える事で人生全体の質は向上して行きます。
人生の輪は自動思考に気づくためのツール
自動思考とは認知行動療法の用語です。認知行動療法とは自分の認知に気付き、認知のゆがみを直して行く事でストレスを軽くしていく治療法の事を言います。
人はそれぞれ「現実の受け取り方」や「ものの見方」に独自のフィルターを持っています。この自分なりのものの見方を認知といいます。
認知には何かが起こった時に瞬間的に浮かぶイメージや言葉があるのです。それが自動思考と呼ばれるものです。自動的に脳が認知をフィルターをかけて認知をしてしまうことから自動思考と呼ばれています。
あなたはこのような経験がありませんか?
初対面にも関わらず、「あっ、この人苦手なタイプだ」と思ったことが...
このように自動思考とは過去の経験則に当てはめて瞬間的に考えてしまう事なんです。しかも、瞬間的になので、自分自身ではこの自動思考にリアルタイムで気付きにくいんです。
ここで、人生の輪に話を戻しましょう。
人生の輪の項目を主観的に数値化していく過程で、あなたが自分自身の生き方をどのようにとらえているかといった自動思考の声に気付くきっかけとなるのです。
例えば、「仕事・キャリア」について考えてみましょう。
- 満足のいく職場ではないな
- このまま定年までいても人生を棒に振るってしまうな
- 出来る事なら1日も早く転職したいけど、転職できる自信がないetc
点数が低い人だとこういった自動思考が出て来るのではないでしょうか?
このように、書き出して行く事で自動思考に着目出来て行きます。このように気づくことを「アウェアネス」といいます。
認知のゆがみに気付く事で始めて認知のゆがみを直して行く事が出来るのです。
人生の輪を改善して行く
人生の輪が出来たら、じっくりとあなたの人生の輪に目を通してみてください。そして、人生の輪において大切なことは、下記の2点です。
- バランスを整える
- より大きくしていく
1.バランスを整える
あなたの人生をスムーズに進めて行くには何よりもバランスが大切です。いびつな形では人生を前に進めて行くのに大きな労力やコストを支払って行かなければなりません。また、人生において急こう配がある時などは立ち往生して身動きが取れなくなってしまうかも知れません。
だから、あなたの人生の車輪ともよべる人生の輪はバランスを取っていく事がなによりも大切です。例えば、どこかが突出して大きく、どこかが突出して小さい場合は、自分が割いている労力や時間配分を調節していく事が必要になってくるかもしれません。
自分では一生懸命打ち込んで仕事をしていたとしても、その影響で家族との時間をないがしろにしているかもしれません。または、余暇や休日を犠牲にしているかもしれません。
そうなると、人生の輪はいびつな形になってしまうので、本当の意味での充実感あふれた幸せからは遠ざかってしまいます。
バランスを取ることで初めてあなたの人生は乗り心地がいいものに変わってくるのです。
2.より大きくしていく
人生の輪のバランスを整えた後は徐々に大きくしていく事を目標として行きます。どんなにバランスがよかったとしても輪が小さければ目的地に着くまでに膨大な時間がかかってしまいかねません。輪を全体的に大きくしていく事であなたの目標到達にかかる時間は減少して行きます。
ただし、バランスが取れて行く事で人生の輪は自然と大きくなっていく性質を持っています。それは人生の輪のバランスが取れる事で小さいながらも充実感を持った日々を送れるようになって行くからです。人生の輪のバランスが取れてきたら人生の輪は自然と大きく成長していくため、大きくしていく事にそこまで意識的でなくても構いません。
人生の輪が大きくなっていくという事はそれだけ充実感に満ちた人生になっているという事なのです。
まとめ
人生の輪を作ることで今のあなたの人生に対しての充実感を立体的に把握して行く事が出来るようになって行きます。
定期的に人生の輪をチェックしていく事で自らの状態を容易に可視化できるため、バランスのとれた状況を形作っていくための参考資料になって行く事でしょう。
ダイエットで大切なのは毎日の体重チェックです。自らの体重を意識的に観察することで今後の対策を日々修正していく事が出来るからです。
同じく、人生の輪も毎日とはいかないまでも、定期的にチェックして行く事は人生全体をよりよくしていくためにとても役立ちます。
自らの現状を把握し続けて行く事であなたの人生は好転し出して来ることでしょう。人生の輪を定期的に活用して充実感のある人生を過ごしていただければと思います。
関連記事
第2章 セルフチェックの決定版-人生の輪のとっても効果的な使い方
今回のテーマにおける目標設定の目標とはあなたの人生においての目標です。
あなたが心から充実した人生を送るにはあなたの価値観にあった目標設定が必要不可欠となるでしょう。
あなたの価値観にあった目標設定をすることがなぜあなたの人生にとって重要かについて本日は具体的にお伝えしていきます。
そして、あなたの価値観にあった人生の目標設定の作り方について併せてお伝えさせていただきます。
価値観とあった目標の重要性
目標設定する上でとても大事なことは、設定する目標があなたの価値観とあっているかどうかです。
あなたが心から充実感を得ることが出来る目標であれば、目標設定はあなたの人生にとって計り知れない恩恵を授けてくれるでしょう。
しかし、あなたの価値観とあっていない目標であれば、たとえ苦労して目標を達成したとしてもあなたが幸福感に満たされることはないでしょう。
一時の物質的な欲望はみたされるかもしれません。ですが、心の渇きは癒えることはないでしょう。
価値観と成功
人類の歴史を振り返ってみれば多くの人が目標を達成してきました。また、目標を達成した多くの人が物質的成功を手に入れてきたことも確かです。
しかし、人生の夢と言えるほどの目標を達成しても、哀れな最後を迎えていった人たちもたくさんいます。
それとは逆に人生の最後を迎えるまで幸せに充実感を持ち生き続けた人もたくさんいます。
かたや目標を達成しても達成しても欲望という渇きが癒されることなく幸せとは言い難い人生を歩んでいった人たち。
かたや同じように目標を達成し続ける人生をあゆみながらも人を引き付け、充実した人生を歩んできた人たち。
この違いはいったいどこにあるのでしょうか?
その違いこそ本日の記事のテーマである、自分の価値観にあった目標設定が出来たかどうかの差にあるのです。
成功を手に入れるために本当に必要な能力を考える
価値観にあった目標設定を行うにはどうしたらいいかについては後程詳しく取り上げていきます。
その前に、では、なぜ価値観にあった目標設定ができなくて充実した人生を歩むことが出来ない人たちがいるのかについて考えていきましょう。
一方は価値観に準じ、一方は価値観に合わないことをしていく差を比較することで、成功を手に入れるために本当に必要な能力とは何か?
次の章でじっくりと考えて行きましょう。
多くの人はなぜ価値観に合わない目標設定をするのか?
多くの人が自分の価値観に合わない目標設定をする理由は主に3つあげられます。
その理由とは
- 親または育ての親の影響
- 社会的基準の刷り込み
- セルフイメージによる強烈な壁
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1.親または育ての親の影響
脳科学では人の趣味嗜好の9割以上が親からの影響を受け継いでいることを明らかにしています。いわば、人は生まれながらにいい意味でも、悪い意味でも親から洗脳されている生き物なのです。
理由は簡単です。
人はほかの動物に比べ、親の依存度がずば抜けているからにほかなりません。今の日本では多くの人が少なくとも18~20歳近くになるまで親の保護下で生活しています。生活的にも、金銭的にもです。
人間とは20年近く親の影響下で生きている動物なのです。多くの動物は1年~2年で親離れを済ませるにも関わらず、人間は親離れするまでに数十年を要します。
当然、人生の多くを親と過ごすため、親から受ける影響は絶大です。
しかも、本人が自覚していない無意識の多くが親の考えに洗脳されているのです。いわば、あなたの無意識の部分の多くは親によって植えつけられた選択パターンによって行動しているわけです。
親からの否定が大人になってから与える影響
例えば、プロ野球選手になりたいと親に相談した子供がいると仮定して考えてみて下さい。
その時に親が、「いかにそれが現実的な選択でないのか、どのくらい確立が低く、失敗したらみじめなことなのか」を伝えたとします。
数十年たって、言われた本人すら意識上では内容を覚えていなくても潜在意識はきっちりと覚えているのです。
そして、選択をする機会があるたびに、無意識では、「確率が低いことをするとみじめな経験をするぞ」と働きかけてきます。
そして、困ったことに多くの人は何百回、何千回とこのような経験を親から刷り込まれていくのです。
このように育てられた多くの人は親の価値観に見合った行動しか出来なくなってしまうのです。しかも無意識に。
ゆえに、多くの人は自分自身の価値観を見出すのではなく、親の価値観に沿った選択をしてしまうのです。
2.社会的基準の刷り込み
大手企業に就職すれば収入は安定し、それなりの生活はできると思います。社会的にもいくばくかの尊敬が得られるかもしれません。しかし、それが本当にあなたの望んだ道だったのでしょうか。
自分らしさを発揮しながら、人々の幸せにも貢献できる充実した生き方だったのでしょうか。なんとか生きられる収入を与えられているだけでないでしょうか。子供も育てることができたとしても、資本に仕えながらただ生きて、資本に追従していくことでしか生きられない子孫を残しただけではないでしょうか。それで幸せだと思えるなら、それは洗脳された奴隷としての人生だったといわざるを得ません。
このことは、たしかに洗脳なのですが、誰も、自分を育ててくれた親やお世話になった学校の先生、会社の社長が、信者を洗脳して地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の教祖麻原彰晃のような危険な存在だとは考えません。
ただ、お金を儲けたいという煩悩をたきつけられ、人を奴隷化する手法をもって、知らず知らずのうちにお金を中心にした価値観に縛られ、行動を支配されるようになってしまったのです。
洗脳されているのに洗脳とは気がつかない。それが資本主義の洗脳の本当の恐ろしさなのです。
「洗脳を解けば、人生はすべてうまくいく」 引用
上記の引用の様に社会的基準の刷り込みも親の影響と同じほど強烈に植えつけられていきます。
また、親の価値観も社会的基準の刷り込みと、祖父母の影響を直に受けているため、子供の価値観にはそれらすべてが統合された形でのしかかってきます。
自分の性格と思っている自我は、あなたが思っている以上に周囲からの影響で構成されているわけです。
しかも、こまったことに、社会的基準とは画一化された価値観を是としています。
これは社会的基準から外れてしまった人は社会の脱落者として判断されてしまうということです。
実際、そうではなかったとしても、あなたの脳にはそう思われるようにインプットされてしまっているのです。
資本主義社会の価値観
それは、現在の資本主義は労働者階級があってこそ、成り立つ世界だからです。
いい高校に入って、いい大学を出て、いい働き手になってこそ、社会的価値観が高い人だと認められる社会に私たちは住んでいます。
私たちは集団社会に住んでいる以上、いやがおうにもこの社会的価値観に影響されて生きているわけです。
ということは、社会的基準の刷り込まれた人の多くは目標設定するにしても社会的価値観にのっとった模範的な目標設定をしてしまうということです。
親からもほめられて、社会からも認められる目標は?
- いい大学に入ること。
- いい会社に入ること。
- 出世してほかの人よりいい給料をもらうこと。
- 欲しい車を買うこと。
- いいうちに住むこと。etc
世間に顔向け出来る目標を一通りあげてみました。
一人一人がこういった目標を持ってくれたら資本主義社会は成長を続けられるでしょう。
生まれた時からレールが敷かれている
なぜなら、大学に入るまでお金を使ってくれますし、会社に入って労働階級になってくれるのですから。
しかも、周囲と競い合って生産性を伸ばしてもくれます。その上、借金をしてうちや車まで買ってくれるのです。
社会的基準の刷り込みが完成という状態です。
ということは?いい大学に入って、いい会社に入って、いいうちに住んでという価値観はあなたが生まれた時から仕込まれていた価値観になりませんか?
私たちが住んでいる社会が資本主義社会である以上、この価値観を全否定するわけではありません。
しかし、あなたが心の底から望んでいる価値観とは意識で欲しいものとは大きくかけ離れているかもしれないことだけは押さえておいて下さい。
3.セルフイメージの強烈な壁
自分の価値観に沿って、生きていく道を見出していくには、親の価値観を乗り越え、社会的価値観を乗り越え、さらにセルフイメージを乗り越えていかなくてはなりません。
セルフイメージとは親と社会的基準を刷り込まれたあなたが自分の限界だと認識している自分像です。
簡単にイメージしていただけるように画像と引用を用意しましたのでご覧ください。

インドでは、象を飼う時に、象の足をロープで杭につなぐそうです。
象の力をもってすれば、その杭を抜いて逃げることは簡単なのですが、
象たちは杭を抜こうとしないのです。
象たちは、子像のころからその杭につながれています。
そして、子像のころ何度も杭を抜こうと試みて抜けなかったので、
自分にその杭を抜くことはできないと思っているのです。
大人になって杭を抜く力がついているにもかかわらず・・・
野口嘉則 公式ブログより引用
そうです。あなたのセルフイメージはこの象と同じような現象に陥っているのです。
親の価値観や、社会的基準を刷り込まれて育ったあなたは、自分の本来の可能性を引き出すことが出来ないまま、社会という杭に縛られ続けています。
価値観を見失う
人は生まれてから親と社会的基準に縛られていますが、だれしも本来は無意識の中に自分の生きがいとなる価値観を持っているものです。
スティーブ・ジョブズは2005年にスタンフォード大学で行ったスピーチにて価値観についてこのように語っています。
「人に与えられた時間は限られている。だから、誰か他人の人生を生きて、その時間を無駄にしてはならない。
教義教理に囚われてはならない。それは他人の思考の産物とともに生きながらえている。他人の意見が生み出す騒音に自らのうちなる声がかき消されてはならない。
一番重要なのは、自分の心と直感にしたがう勇気を持つことだ。このふたつはどういうわけか、すでにその本人がなりたいものが何なのかをよくわかっている。それ以外のものはすべて二の次なのだ。」
しかし、人は成長するにつれ、当の本人ですら自分自身の価値観を見つけられなくなってしまいます。
無意識の中には灯としてめらめらと残りつつも、本人がその価値観に気づかないのでは見つけようがありません。
そして、自分の価値観と違う目標を設定し、頑張っていくのです。
けれども、心の中で自分が本当にやりたい目標と、与えられた目標とが同居することになるため、矛盾が生じます。
その結果、与えられた目標を達成しても心の渇きが癒えないといった状況に陥ってしまうのです。
心から幸せになりたいなら与えられた価値観と決別する覚悟を決める
皮肉なことに、人生ではただひとつのことに専念しろと社会が働きかけてくるのと同時に、そうした社会での一般的な常識が、整然と小さな断片に切り分けられたバランスのとれた人生を送れと圧力をかけてくる。
ビジョナリーマインドより引用
もしも、あなたの価値観が社会的基準にあった価値観であればいうことはありません。
正しいやり方で目標を立てることが出来れば、心の底から充実感を得られる成功を手にすることは難しくはないでしょう。
しかし、あなたの価値観が社会的基準の外に位置しているのであれば、あなたは決心しなくてはなりません。
このまま社会的基準に沿って人生を過ごしていくのか、それとも、社会から与えられた価値観からの決別を表明するのかを。
進むべき方向性
おそらく、社会的価値観に準じた生き方であれば当面の生活の不自由はしないでしょう。また、物質的な水準でも満たされるかもしれません。
一方、あなたの価値観に準じた目標を選択するのであれば、衝突や困難の連続かもしれません。もしかしたら、物質的な成功はずっと先になるかもしれません。
結局進む道はあなたにしか決められません。
あなたのどちらの道を選びますか?
ある人が道で出会った髭の賢者に聞いた。「どちらの方向に行けば成功するのでしょうか」。賢者は黙ったままその方向を指し示した。その迷える人は、成功が間近で、しかも簡単だという思いで有頂天になり、急いで駆け出した。
突然、バシャッという音が聞こえる。しばらくして、打ちのめされた茫然自失の迷える人は、方向を間違えたに違いないと思い、足を引きずって戻ってきた。再び賢者に同じことを問い質す。賢者は黙って同じ方向を指し示す。
迷える人はうなずき、前と同じ方向に歩き出す。今度のバシャッという音はもっと激しかった。迷える人は這いずりながら戻ってきた。身体は血だらけでぼろぼろ、怒りに震えているようだ。
賢者に向かってどなりながら、ひどい目に会う方向に向かわせた理由を教えろと迫った。「もう黙って教えるのはやめろ。口を開け」
ようやく賢者が話しかけた。「成功はその方向だ。その仕打ちの、ほんのすぐ先にある」
ビジョナリー・ピープルより引用
人生の輪

最近は、自分のしていることを好きになるのが大事、という議論が盛んになっている。しかし、大半の人はそれを鵜呑みにしているわけではいない。大好きなことをするのは、いいことに違いない。
けれども、ほとんどの人は、現実の問題としてそうした贅沢をしている余裕はないと感じています。多くの人たちにとって、本当の生きがいというのは、そうあってほしいという感傷的な空想で終わってしまう。
実はこれが問題で、自分の大好きなことをしないのは危険なのだ。自分のしていることに愛情を感じない人は誰であれ、愛情を感じている人にことごとく負けてしまう。それが冷酷な真実だ。
自分の仕事や人間関係に本気でない人がいる一方で、それらに愛情を注いでいる人が存在する。この人たちのほうが、懸命に長い時間働いているし、ずっとよい仕事をするだろう。
昔からなじんだ役割にしがみついているほうが無難だと感じながらも、その反面、自分の中から活力がなくなり、レイオフの声が聞こえてくるときには、いつのまにかその候補の最前列にいる自分に気づく羽目になるのだ。
ビジョナリー・ピープルより引用
あなたが自分自身の価値観に沿った目標設定をする気持ちを持たれているのであれば、今回紹介する人生の輪が強力に役立つツールとなるでしょう。
これはコーチングのセッションでも使うとても効果的なツールです。
人生の輪については下記で簡単に説明させていただきます。人生の輪とは人生の代表的な領域を表しています。
輪の中心を0、外輪を10として、それぞれの満足度を10点満点で評価し、その点数に合わせて弧を描きます。あなたのそれぞれの分野での充実感を表してみて下さい。
人生の輪ーそれぞれの質問例

人生の8つの領域についてそれぞれ代表的な質問を上げさせていただきます。冒頭の人生の輪の画像をプリントアウトしてそれぞれの分野に上記の画像の様に書き込みをして行って下さい。
仕事・キャリア
あなたの仕事に満足していますか?あなたの仕事を楽しんでいますか?
あなたの仕事に情熱を持てていますか?
お金・経済
あなたは自分で満足するだけのお金を持っていますか?あなたは経済的に自由ですか?
あなたは自分が望むだけの金額を稼いでいますか?
健康
あなたは体力面で充実していますか?あなたは精神面で充実していますか?
あなたはエネルギーで満ち溢れていますか?
家族・パートナー
あなたは自分の愛する人たちと暮らしていますか?結婚している人は本当にしあわせですか?
あなたの両親との関係はどうですか?
人間関係
あなたは友人を信頼していますか?あなたの人間関係はうまくいっていますか?
あなたは友人から信頼されていますか?
学び・自己啓発
あなたはキャリアアップのために学んでいますか?あなたが望む学びの場は得られていますか?
あなたが望む自己啓発の場は得られていますか?
遊び・余暇
あなたは人生を楽しめていますか?あなたは休日を満喫できていますか?
あなたはリフレッシュできていますか?
物理的環境
あなたはどんな環境であればしあわせですか?あなたは現在の環境に満足していますか?
あなたは自分が住みたい場所に住んでいますか?
人生の輪の形
描かれた輪はどのような形になっているでしょうか?すべて均等ですか?
それとも凸凹していますか?この輪があなたの車の車輪となったらどうでしょう?
快適にすすめますか?それとも小さすぎてほかの3輪とかみ合いませんか?
または凸凹しすぎていてうまく前にすすめないでしょうか?
この車輪は現状で、あなたが感じている人生の充実度を表しています。点数の低いところは、あなたが潜在的に充実していない、もしくは、充実させていきたいと認識している領域となります。
尺度はあなた自身のため、点数はあなたの価値観で判断してください。
自分の基準で考えること
例えば、人間関係・友人・知人では、人数が世間的に見て多い、少ないで考えるのではないということです。
たとえ、人数が多くてもあなたにとって充実感が感じられないのであれば点数を低くし、人数が少なくても充実しているのであれば点数を高く設定するということです。
点数が最も低い部分があなたの価値観にとって満たされていないと感じている部分です。
この弧の中で最も低い部分か、あなたが改善したい部分を見つけて下さい。
そして、その領域で何をしたら最高に幸せな気分になるのかを考え出してみて下さい。また、そのような気分にならない場合は、どうしたら一つでも点数が上がるかを考えて見て下さい。
すべての輪が均等に大きくなっていくように低い部分もしくは改善したい部分から目標を設定し、実行してみて下さい。
バランスを保つ
あなたが望んでいる価値観が人生の輪で明確になってきたでしょうか?
例えば、親や社会によって与えられた価値観がお金・経済だったとしても、あなたが本当に望んでいる価値観は人間関係かもしれません。
その場合、あなたの価値観と結びついた人間関係の目標を決めていくほうがあなたにとって達成感がある目標となるでしょう。
そして、人間関係の輪が大きくなれば、ほかの足りない部分や改善したい部分に取り組んでいけば自然と価値観のバランスが均等化してくることでしょう。
与えられた価値観だけでの判断では、均等なバランスになることはありません。理由は、偏ったものの見方をしているためです。
たとえば、与えられた価値観がお金・経済であった場合、健康を犠牲にしてもお金を稼ぐといったような目標を持つとバランスを大きく欠いてしまうことになりかねません。
心の葛藤をなくすにはバランスが大事
バランスが崩れるほど、心の葛藤は大きくなります。
一方、あなたが望んでいる価値観を充実させていけばおのずとすべての価値観にバランスが生じ、心の葛藤はなくなってきます。
そして、バランスが均等になれば、あなたの価値観とあった本当にあなたが達成したい目標が必ず現れ実現していくのです。
遊び・余暇が低い場合はどうするの?という声が上がってくるかもしれませんので、付け加えておきます。
あなたの価値観にとって、遊びや余暇が満たされていないのであれば、満たされる目標をつくってしまって大丈夫です。
遊び・余暇が満たされていないことで、あなたにはストレスがたまっているのかもしれませんし、遊びや余暇が満たされることで、あなたの人生を充実させるアイデアや発想が出てくるかもしれません。
遊び・余暇に目標を設定するのはどうかと思うのも、社会的基準でしかありません。
あなたの価値観が遊びと余暇を訴えているのであれば、あなたの価値観に耳を澄ませるべきです。
これを機に、価値観にあった目標に焦点を合わせるために、人生の輪でバランスをとってみて下さい。
まとめ
今回の記事では価値観にあった目標設定をする必要性について紹介させていただきました。
そして、価値観にあった目標設定をするために必要なツールとして、コーチングで使う人生の輪についても合わせて紹介させていただきました。
実りのある人生を過ごすには価値観にあった目標設定をし、充実感を持った生き方をすることです。
いわば、生きがいを見つけて没頭することにこそ、人の幸せはあるのだと思います。
これを機会にあなたの価値観にあった目標設定をして頂ければ幸いです。
参考文献
- 目標達成する技術 マイケル・ボルダック フォレスト出版
- コーチング・バイブル ヘンリー・キムジーハウス キャレン・キムジーハウス フィル・サンダール 東洋経済
- ビジョナリー・ピープル ジェリー・ポラス スチュワート・エメリー マーク・トンプソン EIJI PRESS
コメントを残す