ネガティブな思考は脳に深く刻み込まれます。
そして刻まれた思考をより強固にしてしまう力がネガティブな言葉にはあります。
だからこそ、ネガティブな言葉の危険性に気が付き、意識的に抑えていくことが重要となってくるわけです。
人間は生まれつき、脳がネガティブな経験に焦点を当ててしまう習性があるそうだ。そのため、人生においてポジティブな事が多く起きていたとしても、ストレスを感じたり不幸に感じたりしてしまうのだそうだ
「Hardwiring Happiness: The New Brain Science of Contentment, Calm, and Confidence(幸福感を習慣にする方法:満足感、安らぎ、自信に関する新たな脳科学)」の著者である、カルフォルニア大学バークレー校のRick Hanson博士によれば、脳はネガティブな経験から脳構築を行うのに長けているのだそうだ。
たとえば、「 あつものに懲りてなますを吹く」ということわざもあるが、痛みを伴うと理解も速い。人間の祖先は、天敵や自然災害の脅威に日々晒されており、生きる上で切迫した状況やインパクトから学習できる脳が必要であったため、進化の過程でこうした特性が受け継がれてきたという。
Slashdotより引用
今回の記事ではネガティブな言葉の悪影響を考察し、ネガティブな言葉の型についてもお伝えしていくつもりです。
ネガティブな言葉の型を表層意識で理解することで、無意識から発信されるネガティブな言葉を抑え込む効果が期待できます。
そして、最後にはネガティブな言葉の矯正方法についてお伝えしていきます。
Ⅰ.ネガティブな言葉が潜在意識にもたらす4つの悪影響
ネガティブな言葉はあなたに思いのほか悪影響を与えます。
ネガティブな言葉がどのようにあなたに悪影響を与えるかについて見ていきましょう。
1.ネガティブな言葉によるアファメーション効果
アファメーションとは本来、目標達成の手段です。
目標を紙に書き出すことで、肯定的なイメージを潜在意識に強く刻み込む効果があります。
そして目標を刻み込まれた潜在意識は目標を達成するべく動き出していきます。
残念なことに、ネガティブな言葉にもアファメーションと同様の効果があるのです。
人は生まれつきネガティブな感情が強く残ると考えると、ポジティブなアファメーションよりも威力があるといっても過言ではないでしょうね。
ネガティブな言葉を唱えることで知らず知らずのうちに、潜在意識に否定的な情報を積み重ねてしまうのですから恐ろしい話です。
潜在意識の力についてより詳しく知りたい方は下記のカテゴリをご確認ください。
2.ネガティブな言葉によるビジュアライゼーション効果
ネガティブな言葉を発すると、潜在意識にはビジュアルとしてその光景が浮かび上がってきます。
潜在意識って結構アバウトな性質を持っていて、イメージと現実の区別がつかないんですね。
そして、イメージのほうが現実よりも臨場感が高くなってしまうと潜在意識が勘違いを起こしていきます。
イメージで思い描いた自分が本来の自分であると。
こうなってくると、潜在意識は本来の自分(イメージで思い描いた自分)と現実のギャップにひどく憤慨し始めるのです。
潜在意識にはホメオスタシスという現状維持機能が標準装備されているため、本来の自分(イメージで思い描いた自分)に戻るために、あらゆる力を駆使して行動し始めていきます。
これが肯定的なイメージであればいうことはないのですが・・・
否定的なイメージに対しても同じく全力で突き進もうとするのです。
ネガティブな言葉を発するほど、ネガティブな言葉の通りに行動しようと全力を尽くすのですからたまったものではありません。
3.ストレス
ネガティブな言葉はストレスを大きくする働きもあります。
ネガティブな言葉を発するほど、意識の焦点はネガティブな気持ちにあたるわけですから、
ストレスが大きくなるのも当然ですよね。
そして、本人が無自覚なため、ストレスの原因に気が付けないのです。
ここがやっかいな所です。
ストレスがとても貯まるのに原因がわからないので対処のしようがないのです。
ストレスの原因のもととなるネガティブな言葉を放置するのはこのためです。
そして、さらにやっかいなことに、ストレスが大きくなるとネガティブな言葉も増えていくから大変です。
放置しておくとまるでがん細胞のようにストレスが全身をむしばみ続けてしまいます。
4.継続することでネガティブなセルフイメージが構築される
インドでは、象を飼う時に、象の足をロープで杭につなぐそうです。
象の力をもってすれば、その杭を抜いて逃げることは簡単なのですが、象たちは杭を抜こうとしないのです。
象たちは、子像のころからその杭につながれています。
そして、子像のころ何度も杭を抜こうと試みて抜けなかったので、自分にその杭を抜くことはできないと思っているのです。
大人になって杭を抜く力がついているにもかかわらず・・・
野口嘉則 公式ブログより引用
セルフイメージの話をするのであれば、この象さんの写真はかかせないですね。
この象さんのイメージこそ端的にセルフイメージを表現しているものだと言えます。
セルフイメージとはあなた自身が思い描く自分像です。
セルフイメージが高ければあなたの限界を超えた能力を身に付ける手助けとなります。
しかし、セルフイメージが低いとこの象のように自分自身の限界を低めに設定してしまい、結果、本来の能力を発揮することが出来なくなってしまいます。
ネガティブな言葉を継続して発し続けると、セルフイメージがどんどん低くなってしまいます。
潜在意識がネガティブな言葉にあわせた自分像を作り上げてしまうからです。
Ⅱ.あなたを成功から遠ざけるネガティブな言葉5つの型
ネガティブな言葉にはそれぞれに型があります。
多くのネガティブな言葉はこれから紹介する型にはまるため、型をしることでネガティブな言葉を意識していきやすくなるでしょう。
1.「~ねばならない」の型
一つ目の型は~ねばならないという言葉です。
- 「努力しなきゃ」
- 「頑張らなきゃ」
- 「結果を出さなければ」
- 「禁煙しなければ」
- 「勉強しなければ」
- 「お金を稼がなければ」
一見建設的な言葉に聞こえるからこそ、この口癖はやっかいなのです。
言葉に「~ねばならない」が入っていることで自分を追い込む性質を強くはらんでいる言葉となります。
この言葉を多用する人は潔癖症で完全主義者なタイプの人に多く見受けられます。
また、この「~ねばならない」という言葉をよく使う人はうつ病の危険性が高いと言えます。
「~ねばならない」という言葉は達成しなければならないという強迫観念があることもストレスになりますが、もしも達成できなかった時の落ち込みも大きなストレスとなってしまいます。
この言葉はどちらに転んだとしても大きなストレスになる最も避けるべき言葉だと言えるでしょう。
「~ねばならない」の型はポジティブな思考と誤解されやすいため、積極的に使われている誤った言葉だと言えます。
2.「謙遜」の型
日本人ほど謙遜を使う民族はいないでしょう。
謙遜とは相手を立てるために自らが控えめになることです。
まさに日本人の文化が生み出した美徳のひとつともいえるのではないでしょうか。
しかし、謙遜のしすぎでいつの間にか謙遜が口癖のひとつとなってしまった場合、話は別です。
あなたを縛り付けるネガティブな言葉となってしまいます。
接客業や営業を長くやっている人は「謙遜」の型が口癖になる傾向が高いようです。
- 「私などまだまだです。」
- 「爪の垢を煎じて飲みたいくらいです。」
- 「さすがお目が高い。私とは見ているものが違う。」
「謙遜」の型を使い続けると、自分自身は価値が低い人間だということを、セルフイメージに植えつけられてしまいます。
価値が低い人間だと思い込むことで、劣等感や、無力感、喪失感に打ち克つ精神力が減少してしまいます。
3.気分の型
ネガティブな言葉の代表例ともいえるべき型でしょう。
気分にまつわる言葉はとても多いのです。
一例をあげていきましょう。
- 「最悪」
- 「つかれたー」
- 「だるい」
- 「つまらない」
- 「イライラする」
- 「はあー」
- 「むかつく」
- 「もうだめだ」
- 「忙しい」
「気分」の型は数が膨大なためすべてを意識して把握しようとしても難しいでしょう。
言葉を捉えようとするのではなく、あなたの「気分」の変化に焦点を合わせて見てください。
気分に意識を向けるだけで口癖の傾向がある程度パターン化されてきます。
4.「状況」の型
「状況」の型もネガティブな言葉の代表例となります。早速ですが一例を見ていきましょう。
- 「出会いがない」
- 「失敗ばかりするなー」
- 「運が悪いなー」
- 「あきらめよう」
- 「お金がない」
- 「なんで私ばかり」
- 「忙しい」
- 「時間がない」
- 「早く帰りたい」
現状に不満を抱いている時に発せられる言葉です。
こちらも口癖を把握しようとするのではなく、
あなたの「状況」に対して客観的に焦点を合わせてみるだけで発見できるようになります。
5.「比較」の型
「比較」の型は「~ねばならない」の型と同様、使った本人を傷つけてしまう言葉です。
「~ねばならない」の型はストレスであなたを傷つけていく言葉に対し、
「比較」の型は自尊心を著しく損なわせてあなたを傷つけていきます。
「比較」の型は、「謙遜」の型の上位版に位置づけする言葉といえるでしょう。
そして、種類も豊富です。
主に下記の3つの比較で構成されています。
- 社会との比較
- 周囲との比較
- 仮想の自分との比較
社会との比較
自分を取り囲む社会と比較した言葉です。
- 「就職できなかったらどうしよう」
- 「所詮成功できるのは一部の人だけ」
- 「成功する確率は高くない」
周囲との比較
自分のまわりの人たちと比較した言葉です。
- 「なんであの人だけちやほやされるの?」
- 「あの人と比べて私は」
- 「どうせ外面だけでしょ」
仮想の自分との比較
もしも自分が別の道を選んでいたらといった仮想の自分と比較した言葉です。
- 「もしも金持ちに生まれていたら」
- 「あの時大学へ行っていたら」
- 「ちゃんと就職活動をしていれば」
Ⅲ.意味のリフレーミングを使いネガティブな口癖を打ち消す
これまでは否定的なな言葉の型について見ていきました。
ここからは見つけたネガティブな言葉を打ち消していく方法をお伝えいたします。
口癖に気が付いたとしても長年癖になっていることはすぐには変えられません。
だからこそ、口癖が出てしまった時に打消しの言葉を心の中で思い浮かべることが有効となってきます。
口癖を打ち消すにはリフレーミングと呼ばれるNLPの技術を使います。(NLPについて詳しくはNLPとは何か?理論から実践編まですぐに使える4ステップをご覧ください。)
物の見方や視点のことを英語では「フレーム」と呼びます。
リフレーミングとはフレームを変えることという意味です。
リフレーミングには「状況」のリフレーミングと、「意味」のリフレーミングがあります。
「状況」のリフレーミングとは状況のとらえ方を、「意味」のリフレーミングとは意味のとらえ方を変える方法です。
口癖を打ち消すために使うリフレーミングは「意味」のリフレーミングとなります。
ネガティブな口癖の型ひとつひとつを例にとって見ていきましょう。
「~ねばならない」の型
「努力しなきゃ」→「真剣に打ち込めることがあるって素晴らしい事」
「謙遜」の型
「私などまだまだです」→「大人の対応を出来ている私はかっこいい」
「気分」の型
「最悪」→「本当に最悪な気持ちなら言葉は出ないはず。なら私はまだまだやれる」
「状況」の型
「出会いがない」→「ならば出会いをつくっていこーっと」
「比較」の型
「就職できなかったらどうしよう」→「だったらもっと視野を広げて探して見よー」
まとめ
リフレーミングは確かに言葉遊びにしか見えないかもしれません。
こんなことに真剣に打ち込む必要なんてないんじゃない?
とあなたが疑問に思っても無理はありません。
しかし、実際体験してみるといかに効果が高い方法かお分かりいただけると思います。
リフレーミングとは本来人生のあらゆる面で効果的な方法です。
この強力な技術を用いれば口癖によってネガティブに肥大化されたセルフイメージを健全な状態に戻していくことが簡単にできます。
騙されたと思って試してみてください。
参考文献
- 成功を呼ぶ「口ぐせ」の科学 佐藤富雄 宝島社
- NLPの教科書 前田忠志 実務教育出版
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