共感力が高すぎて疲れ果てている心を守る3つの鍛錬法とは?

コミュニケーション能力において共感力の高さは重要な指針のひとつです。共感力が備わっているからこそ、人はやさしさと思いやりを持って他人に接することが出来るますし、共感力があるから、人は社会と調和して生きて行けます。

しかし、この共感力が高すぎて日常生活に支障をきたしてしまう人たちが私たちの社会には存在します。彼らのように共感力が高い人たちは「エンパス」と呼ばれています。

例えば、あなたが人の感情や体験、空想やドラマの出来事、世の中のニュースなどを自分事のように捉えてしまったとしたらどう思いますか?きっと、とてつもない生きづらさを感じることでしょう。

「エンパス」の人たちは共感力が高すぎることによって、このような生きづらさを抱えて日々を送っているのです。もしかしたら、あなたも同様の苦悩を抱えているのではないでしょうか?

本日の記事では私のコーチとしての体験と、心理的側面から「エンパス」の原因と対処法についてお伝えさせて頂きます。

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Ⅰ.私もかつてはエンパスでした

私自身かつてはエンパスでとても生きづらさを感じていました。世の中の悪いニュースを見ては心を痛め長い時間引きずり、人の悩みや不安を聞いては同様のネガティブな感情になり、テレビや漫画を見てはその世界の理不尽さに憤ったり、悲しさに打ちのめされて立ち直れなかったりとさんざんでした。

それでも、自分がエンパスだということすら気付かずに日々を過ごしていました。みんな似たようなものだと思っていたのです。

しかし、コーチという仕事を始めてから状況は一変しました。理由は共感力が高すぎることによってクライアントの苦悩をすべて受け入れてしまうようになって行ったからです。

コーチとしての苦悩

人は誰もがみな人知れず悩みを抱えて生きています。コーチングは人の深層心理と向き合う仕事であるため、このような悩みに焦点をあてて行くことも比較的多いのです。深層心理の悩みや苦悩を解決することで、前に踏み出して行く人は沢山います。その為、コーチはクライアントの心の葛藤と向き合うこともしばしばあります。

私自身、共感力が高いことでクライアントの喜びや感動を分かち合うことも多かったのですが、逆に共感力の高さがあだとなり、クライアントの悩みや苦悩も背負い込むようになってしまいました。

人の喜びや感動はいくらでも受け入れられますが、悩みや苦悩は1人分でも持て余してしまいます。ひとりひとりの心の闇を全て受け入れて行くことなど私には不可能でした。当然、私の心はあっという間に許容量を超え崩壊しはじめて行くのです。

解決策を追い求める日々

このままの状態では精神が壊れるか、コーチを辞めるかしかありません。それほど当時の私は追い詰められていました。

そのような状況下に置かれて気が付いたことがあります。それは、同じコーチでも当時の私のように心が大きく疲弊してしまっている人と、まったく精神的に動じていない人がいるということでした。

長年コーチをしながらもますます気力と体力に磨きがかかって年々若々しくなって行く人もいる程です。

この差を追求していくことこそが、コーチを続けて行くための秘訣になると当時の私は考えました。そして、調べて行くと私のような共感力が高い人がエンパスであるということ。また、エンパスは原因と対処法を知ればコーチとしての唯一無二の武器ともなることが分かりました。

この時から私はエンパスを自分の唯一無二の武器とするため研究を続けて行ったのです。この経験がなければ、コーチとしての私は潰えていたことでしょう。

今の私はエンパスを味方に付けることができ、コーチとしての幅が飛躍的に広がりました。次の章からは私がエンパスを味方につけるために学んだ内容をお伝えして行きますね。

Ⅱ.エンパスの原因(心的容器の虚弱性)

私たちプロのコーチが提供しているコーチングにはプロセスコーチングという手法があります。抱え続けている感情をしっかりと「今・この瞬間」に味わい尽くすコーチングです。抑え込まれている感情と向き合い、味わいつくすことではじめて感情は昇華されていきます。そうすることで前に進むエネルギーへと転換して行くのです。

しかし、それには感情を味わいつくすための心の器がしっかりと育まれている必要があります。この心の器のことを分析心理学者の創始者カール・グスタフ・ユングは心的容器と表現しています。

私たちは心的容器が育まれていれば、どのような感情でも一時的に受け止めることができ、状況によって感情を味わって昇華させたり、感情を適切に抑圧をして自分自身を保っておくことが出来るのです。

一方、心的容器が脆弱だと大変です。自分の感情を受け止めようとすると、心的容器がひび割れたり、壊れ始めたりして来ます。また、自分以外の人の感情が自分の心的容器に侵入してきてしまうのを防ぐことも出来ません。

かつての私はこの心の器がしっかりと育まれていませんでした。心の器は所々がひび割れていたのです。共感力の高さは心的容器の脆弱性にあったのです。

心的容器が脆弱だと

例えば、嫌な感情が湧いてきたとしましょう。ただし、心の器がしっかりと育まれていれば、嫌な感情をしっかりと心の器に満たしておくことができます。

心の器が大きいほど、また強固なほど私たちは感情を器の中に適切に保つこと出来るということです。味わうべき時に感情をしっかりと味わい、抑圧するべきタイミングには感情を押しとどめて置くことができます。

つまり、心の器がしっかりと育まれていると、嫌な感情に心が支配されて精神的に乱れてしまうことがなくなるのです。

ようは心的容器がしっかりと出来上がっていると感情に心が左右されにくく、いつでも安定した精神状態でいつづけることができるということですね。

しかし、心の器が脆弱だとそうは行きません。自分の感情が漏れ出し、落ち込んだり、人の話を聞いて自分事のように捉えてしまい悲しくなったりと・・・

その上、感情を適切に保管出来ない為、人前で泣き崩れてしまったり、大切な商談中などもずっと嫌な感情をもたらした出来事を考えるばかりで上の空ということも・・・

このように精神が不安定になることで、生きづらさを感じる日々が続くのです。

抑圧ができないと

また心の器が脆弱だとひび割れた部分から感情が零れ落ち抑圧することが出来ません。コーチとして感情を適切に抑圧が出来ない事は致命的です。

クライントが涙を流して悲しみと向きあっている時に、コーチもウォンウォン泣いていたらコーチングにはなりません。当然、そのようなコーチングではクライアントにとって得るべきことはひとつもありません。

このように状況によって自分の感情を抑えることが出来ないのはエンパスの特徴です。

心の器がしっかり育まれていると、時と場合をしっかりと見定め、適宜感情に蓋を閉めることが出来ます。そのおかげで私たちは感情に流されずに安定した生活を送ることが可能なのです。

また、抑圧することで感情の熱量を下げることが出来ます。感情の熱量がもっとも高い時は瞬発的に感情が表出した直後です。その時に蓋をすることが出来れば、時間が経つのを待つことで感情の熱量は下がります。

そして、ひとりになれるような時や、人目が気にならない場所でじっくりと感情と向き合い、誰にも迷惑をかけずにより少ない労力で感情を昇華させることが出来るのです。

Ⅲ.エンパスの行動特徴

この章では、共感力が高いこと以外のエンパスの特徴についてまとめて行きます。

アクティングアウト

アクティングアウトとは心の防衛機能のひとつです。心的容器にひびが入り、感情が外に漏れだして行くと心だけでは感情は処理しきれません。心が処理出来る感情は心的容器に満たされた感情だけだからです。

感情が処理しきれないとその感情は核廃棄物のように有害なエネルギーを身体中にまき散らし、やがて心そのものまでをも汚染してしまいます。

こうなると、私たちに残される道は限られます。

処理されそこねた感情を廃棄物処理班のように排除していくしかないのです。しかし、これの処理方法は事故処理と同じく痛みが伴います。

悲しみや怒りの感情が抑えきれなくなり、無意識に自分やモノ、人にぶつけてしまったりするのがアクティングアウトです。

ようは流れ出た感情がストレスとなり、そのストレスを発散するための行動を取るわけです。お酒に逃げたり、ギャンブルや無駄づかいに走ったり、怒りっぽくなったりするのもアクティングアウトの影響だということです。

しかし、アクティングアウトでは一時的な憂さ晴らしになっても根本は解決しません。放射性廃棄物のように心的容器から流出してしまった感情は負のエネルギーを垂れ流し続けてしまいます。

アクティングアウトについてより詳しくは下記の記事をご覧下さい。

心の防衛機能を強化する正しいストレス解消方法

境界線が引けない

エンパスの人は共感力が高すぎるため、人との適度な距離感が掴めません。人のことを自分のことのように考えてしまう共感力の高いエンパスの人は他者の痛みに人一番敏感なため、人を傷つけることを極度に恐れます。

人を傷つけることを恐れるあまり、他者からの要望を断ることが苦手です。常に人の顔色をうかがいながら自分自身を抑え続けているのです。

「ここまでは入って来ていいけど、ここからは侵入してこないで欲しい」という心の境界線が明確でないと心の器はさらに劣化してしまいます。心の境界線がはっきりしないということは、自分の心に他人が土足で侵入してくるようなものですから、居心地がいいわけがありません。

想像してみて下さい。自分のプライベートな空間を他人が許可もなく侵入しつづけてくることを。1日たりとも気が休まる気がしないでしょう。

当然、心が不安定になるほど、心的容器は弱まって行きます。心が疲弊し続けてしまうのですから当たりまえのことですよね。心の境界線が引けないことによって、自分自身がもっとも被害をこうむり続けてしまうのです。

人に合わせて我慢をしつづけることは百害あって一利なしです。

秘密を持てない

私たちの心は適度に秘密があることで外部から守られています。もし、だれかれ構わず自分の秘密を話してしまおうものなら、心の器は崩壊し、精神はあっという間に支障をきたしてしまうでしょう。

このことを心理的デブリーフィングと言います。心理的デブリーフィングとはもともと災害被災者の方たちに提供していた90年代に流行していた心理療法です。

トラウマになるような出来事を体験した人同士で、互いを理解しあう雰囲気をつくり、心を分かちあうことで、精神的な負担を軽減する目的で行われていました。

しかし、心理的デブリーフィングを行う事でPTSDの症状などが悪化されるケースが多かったことで、近年では被災者の心のケアに使うにはよろしくないというコンセンサスが出来上がって来たのです。

要は自分にとってトラウマになるような出来事や、傷ついていることなどは心にしまっておく方が精神衛生上いいということです。

しかし、エンパスの人のように心の器が脆弱な人は、自分の心に共感してもらいたいという想いが強く、結果として自分の心の傷や、思い出したくない過去のようなことまでだれかれ構わず話をしてしまう傾向があります。

当然、心の器は音を立てて崩れ落ちて行くのです。自分の秘密を話せば話すほど心は不安定になってしまうのですから。

Ⅳ.エンパスの対処法(心的容器の3つの鍛錬法)

先ほどの章では共感力が高すぎるエンパスの人は、心の器が脆弱であるということをお伝えしてきました。

この章では心的容器の鍛錬法をお伝えして行きます。心の器を鍛えることで、心は安定感を取りもどし、不動の精神を手に入れることが出来るのです。

そうすれば、楽しいことやうれしいことは誰よりも共感しつつ、悲しみら辛さは自分事に捉えずに客観的に取り扱うことが出来る心のしなやかさを手に入れることが出来るようになります。

1.習慣化

心と身体はつながっています。心的容器を強化するには同時に外的容器を強化することがより確実な道なのです。外的容器とは私たちの行動を指しています。行動とは私たちの心の外側にあり、自分で決定づけることが出来るものと言えますよね。

心と身体が繋がっていることを考えると、行動を型にはめて生活を安定させることが出来れば、心も安定してきます。一方、生活が不規則に乱れれば、心も安定を失います。

日々のルーティーンが心に安定をもたらしてくれるのです。

私は現在、起床直後に1時間、就寝前に1時間の瞑想を行うことを習慣化しています。また、毎日の起きる時間と寝る時間も同じにしています。そして、朝は掃除からはじめ、食事、風呂に入ることを習慣化して仕事モードのスイッチを入れています。

このように日々の生活をルーティーン化させるようになってから、外的容器が育まれたことで人の喜怒哀楽に過度に影響をうけることがなくなりました。生活を安定させることで心が安定してきたのです。

2.心の境界線を引く

野口嘉則さんは著書『「これでいい」と心から思える生き方』で心の境界線を引くNOの伝え方を「アサーティブな態度」と伝えています。

アサーティブに「NO」を言うと自尊心が育つ

相手の権利を侵害する事なく、自分の要求や意見を率直に表現する態度を、「アサーティブな態度」といいます。これは、自分も相手も大切にする建設的な態度であり、また、自分と他者の間に健康的な境界線を引くために必要な態度でもあります

相手に嫌われることを恐れ自分の主張を通せなければ、自分を裏切り続けることとなり、結果として心の器は弱まってしまいます。

そのため、相手に対してNOを言えるように出来れば、むやみやたらに自分のスペースに人が侵入することはなくなるので心は安定して行き、心の器が強化されて行きます。

人にNOと言えるようになることが私たちの心の安定につながるのです。とはいえ、穏便にすませられるならそれに越したことはありません。

下記の記事では「アサーティブな態度」でNOと伝えるための方法をお伝えさせて頂きましたので、人との間に境界線を引けていないなと思う方はご覧下さい。

人との対立が劇的に減る非暴力コミュニケーション4つの流れ

3.秘密を保つ

エンパスの症状に苦しんでいた時の私は、自己開示することはよいことだと考え、少し気心が許せる間柄になっただけでも自分の秘密を打ち明けていました。

幼少期の養育環境や思春期に体験した悩み、また現在陥っている精神的な葛藤など包み隠さず話をしていたのです。特にとあるセミナーで自己開示が信頼関係を構築する鍵だとならってから秘密を話すのに歯止めがかからなくなって行きました。

しかし、その後精神的不調が続くようになり、心が極めて不安定になっていきました。

話をした秘密を否定されたり、ほかの人に伝えられたりしていったこともありました。当然、心の器はぼろぼろになっていったのです。

自分の心の傷や公にしたくはない秘密は心の中でしっかりと厳重にカギをかけておくか、心のプロにお金を払って守秘義務を守ってもらった上で厳重に取り扱って行くことが大切です。

むやみやたらに秘密を公にしないようにすると心の器は安定感を取り戻し強化されて行くのです。

まとめ

 

 

 

 

 

 

 

心的容器を鍛錬することでエンパスがもたらす不協和音は解消して行きます。ただし、心的容器が鍛錬されてもあなたの共感力が落ちるわけではありません。むしろ共感力自体は高まって行きます。しかし、ご安心下さい。心的容器が鍛錬されることで共感力の高さに振り回されることはなくなります。

分かち合いたい喜びや感動は共有しつつも、自分にとって害となる感情は意識的にシャットアウトできるようになるのです。

私は今ではコーチとして自分の共感力の高さに誇りを持っています。一方、不要な感情をシャットダウンすることが出来るようになった自身の成長を喜びと共に受け入れています。

心の器を鍛錬することで私たちは唯一無二の自分自身へと変化して行くことが出来るのです。あなたも心の器を鍛えてみませんか?

関連記事として下記の記事をおすすめします。より具体的に自分を変える方法について書かせて頂きましたので、興味のある方はご覧下さい。

効率的に自分を変えたいなら知らなければいけない2つの真実

この記事を書いた人

自分ブランド創造コーチ 坪井一真
自分ブランド創造コーチ 坪井一真
大学卒業後にITベンチャー企業で人事、営業戦略、マーケティングを経験。20代でマーケティング部門のトップに就任。その後、個人投資家としての独立を経てシードコミュニケーション株式会社を設立。現在は未来創造コーチとして第一線で活躍中。

□米国CTI認定資格 Certified Professional Co-Active Coach(CPCC)
□国際コーチ連盟認定資格 Associate Certified Coach(ACC)
□その他 Co-Active Leadership Program修了

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