- Qこの記事で学べる内容はなんですか?
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この記事では人との信頼関係の築き方について学べます。人と信頼関係を築くうえで最も重要な人との距離感をどのように作り上げていくかに焦点をあてています。この記事を最後までご覧いただく事であなたはどのような人との間にでも最適な距離感を構築する事ができるようになるでしょう。
人には心にも身体にも心理的な境界線があります。この境界線をまたいで入って来る相手に対して人は不信感を持つものです。相手と適切な距離感を作り上げる事は信頼関係を築き上げる上で欠かせません。
信頼関係を築く方法として今回の記事では相手との適切な距離感を作り上げる6つのステップについてお伝えして行きます。その6つのステップは下記になります。
- パーソナルスペースを意識する
- 相手と自分の間に心理的な境界線を引く
- 心の防衛機能を強化する
- 顔を合わせる頻度を多く持つ
- スキンシップを心掛ける
- 空気を読む
次章からはこの6つのステップについて詳しくお伝えさせて頂きます。
1.パーソナルスペースを意識する
パーソナルスペースとは他人に近づかれると不快に感じる空間の事を指します。この距離感は相手との関係性によって大きく変わって来ます。
パーソナルスペースの距離感については下記の画像をご覧ください。
上記画像の様にバーソナルスペースは相手によって大きく異なります。
公的ゾーンにいる関係性の人が親密ゾーンに寄って来たらとても違和感を感じますよね。このように、人には適度な距離感がある事を知っておくことは大切です。
また、パーソナルスペースは一気に縮めると不快感が勝りますが、徐々に距離を縮めて行くと、親密になって行く可能性が高まります。
例えば、社会的ゾーンにいた人が徐々に対人的ゾーンに移行して行くと、心理的距離も同じく縮まった気持ちになり、心を許せるようになって来たりするのです。
このように、意識的に距離を縮めて行く事で、人と信頼関係を強固にして行く事が出来るようになります。
2.相手と自分の間に心理的な境界線を引く
心の境界線を引く事も人間関係を築く上で外せません。心の境界線を引くとはどういうことでしょうか?
想像してみて下さい。あなたが大きな庭のある一軒家に住んでいる所を。見晴らしがよく開放的な場所で暮らしている所を。
ある日、隣人があなたの家の庭に入り込みピクニックをしていたらどう思いますか?また、雨が降って来たからと隣人が勝手にあなたの家に入り込み洗濯物を取り込み始めたらどうでしょう?
いくら隣人とは言え、勝手に敷地内に入ってこられるのは嫌だし、困るという事を伝えますよね。
さすがにこんな風に人のうちにずかずかと入り込む人はいないでしょうが、あなたの心にこのようにずかずかと上がり込んでくる人はいるのではないでしょうか?
例えば、もう結婚適齢期なんだから早く結婚したら?とか、そんな小さな悩み事をいつまでもめそめそしててもしょうがないとか・・・
このように、自分の心の深い部分に土足で上がり込んで来るような人っていませんか?または、このように他人の心に土足で上がり込んでいませんか?
境界線を引くとは他人の心に土足で踏み込まない、自分の心に土足で踏み込ませない事を意識的に行う事です。
ここまでなら上がり込まれてもいいですが、これ以降は侵入してこないで下さいときちんと相手に伝える事が大切です。
要は、相手に対してはっきりと嫌な事は嫌とNOを示す事が重要です。境界線を示す事で、相手もそれ以上踏み込んで来なくなりますし、適切な距離感を保つ事が出来るでしょう。
親しき仲にも礼儀ありという諺がありますが、親しき仲だからこそしっかりと境界線を引いておくことが大切なのです。
課題の分離を心掛ける
アドラー心理学では人と心理的な境界線を築けていない事を課題の分離が出来ていないと表現しています。
課題の分離とは、相手の課題と自分の課題を分ける事です。相手の課題を自分がコントロールしようとしてしまう事を、アドラー心理学では課題の分離が出来ていない人と見なしています。アドラー心理学について詳しくは下記の記事をご参考ください。
課題の分離が出来ない事で人はストレスを抱えます。土足で自分の課題に首を突っ込まれた人はもちろん、土足で首を突っ込んだ方にも大きなストレスを残します。それは、他人の課題に首を突っ込んでも自分が思ったようにコントロールし続ける事は不可能だからです。
思い通りにならない事に対してのフラストレーションが大きく積もってしまい強烈なストレスになって行くのです。
特に、母親が子供に対して課題の分離が出来ていないケースが多く見受けられます。
自分の子供を自分の思い通りにコントロールしたいという思いを深層心理に持つ母親と、自分の事に首を突っ込まれたくない子供の対立はいたる所で起きていますよね。
この場合、母親は子供はひとりの自立した存在だという事を認めてあげて、過度に干渉しないように注意をする事が大切です。
父親の子供へ対する無関心さが信じられないという母親も多くいますが、子供にとっては干渉されない事が自分の存在を認めてくれているというアプローチになっているのです。
子供の成長において母親に求められる役割のひとつは、子供が自立し、それでも傷ついて戻って来た時に無条件の愛で子供を包み込んであげる事です。そうすることで、子供は自己受容が出来るようになってくるのです。
過度に子供に関わり過ぎる事は課題の分離が出来ずに、いつまでたっても子離れ出来ない親になってしまいます。
肉親でも自分は自分、人は人という意識を持つ事が親子の信頼関係を築く上では大切です。
3.心の防衛機能を強化する
人と接する時に心を開かなくてはいけないと思い込んでいる人は数多くいます。しかし、誰かれかまわず心を開いていると結局の所、自分自身が一番傷ついてしまいます。
人に心を開くとは裸の心を人前に晒す事です。そこを相手に切りつけられたらひとたまりもありません。
自分の悩みや本音をつつみ隠さず相手に伝えたとした場合、例え相手に悪気がなかったとしても言葉の暴力であなたを傷つける事はあるでしょう。
- そんな事で悩んでてもしょうがないじゃない
- いつまでも過去の事を引きずってて情けない
- 過ぎた事だし前を向いて歩こう
など、自分の悩みや本音を受け止めてくれるわけでもなく、自分の課題に土足で入り込まれてしまう場合、無防備な分多くの攻撃を心は受けてしまいます。
コーチやカウンセラーのように守秘義務をしっかりと守り、自分の課題に踏み込んでこない上に、しっかりと悩みや本音を受容してくれ、安心安全の場を確保する専門職以外の人に裸の心で接する事はリスクの方が多いのです。
だからこそ、私たちは心に防衛機能をしっかりと持つ事が大切です。
「無理やり人に心を開かなくてもいいんだよ」、「自分の心を守ってもいいんだよ」と自分自身に伝えてあげる事も心の防衛機能を強化する方法になります。
心の防衛機能についてより詳しくは下記の記事をご参照下さい。
親に十分に甘える事が出来た子供は防衛機能が強い
子供の頃に親に十分に甘える事が出来た子供は心の防衛機能がとても強い傾向があります。たとえ、裸の心を傷つけられたとしても、裸の心自体の防衛力が強いので傷はとても小さくて済みます。
私たちは子供の頃は親の保護なしで生きて行く事は出来ませんよね。子供の頃の私たちにとって親は神にも匹敵するほど大きな存在だったという事です。
十分に親の愛情を受けて甘えられた子供は次第に外の世界に興味を持っていきます。そして、次第に外の世界を探索するようになるのです。まるで鳥のひなのように。しかし、外の世界は知らない事や怖い事、不安な事もいっぱいあります。
その時に、いつでも甘えられる親に戻って来られる事で、子供の心は安心感で満たされます。
このように外の世界を探索しては、親に戻って甘える事を繰り返す事で、子供の心の中にはいつしか自分を満たす親の存在が確立されます。
この事を心理学では「親の内在化」もっと詳しくお伝えすると、「受容的な親の内在化」といいます。
自分は自分のままでいいんだという安心感が育つ事で、子供は次第に親から離れても自らの心を労わる術を備えるのです。
厳しく育てられた子供は防衛機能が弱い
一方、親に厳しく育てられた子供は防衛機能がとても貧弱で弱いのです。
- いつまでも甘えているんじゃない
- はやく自立しなさい
- めそめそしているんじゃない
このように厳しく育てられた子供は親に甘えたいのに甘える事が出来ません。そのため、本来心に必要な「受容的な親の内在化」が出来ないまま大人に育ってしまいます。今の日本では子供の頃に十分に親に甘えて育った人よりもむしろ甘えられずに育った人の方がはるかに多いのではないでしょうか。
この場合、心の中にいつでも自分を受容してくれる存在がいないものですから、ちょっとした事で傷をつけてしまったり、立ち直れなくなったりしてしまうのです。
このような状態でだれにでも心を開くのはとても危険な事なのです。世の中、自分を受け入れてくれる人ばかりではないからです。
「受容的な親の内在化」が出来ている人であれば、自分を受け入れてくれない人から傷をつけられても、心の中にいる受容的な親が自らの心を癒してくれますが、いない人の場合もろに攻撃を受けて傷ついてしまいます。
子供の頃に親に甘える事が出来なかった人はとても傷つきやすく弱いのです。
防衛機能を強化する事で守りの内在化を進める
とはいえ、大人になった今、親に甘える事は出来ませんよね。
そのため、私たちは傷ついた心を防衛すべく代替の防衛方法を身に着けて行く必要があります。それが、先ほど紹介したように意図的に自分の心を守る言葉を投げかけたりする事につながります。
また、自分の心を守る方法も内在化して行く事が出来るのです。
どういうことかというと、最初は防衛機能として心に鎧を着こんでいたとしても、それが次第に自分自身の特質になって来るため、鎧を外しても裸の心が柔軟に強くなって行くという事です。
「受容的な親の内在化」を別の守りで代替する事が出来るという事ですね。このことを「守りの内在化」と言います。
よって、心が傷つきやすいと感じられている方は防衛機能を強化する「守りの内在化」を行っていく事をおすすめします。
人と信頼関係を築くならば、自らの心を防衛し強くなることがおすすめです。いい意味で細かい事が気にならなくなるため、心が疲弊する事が徐々に減って行く事でしょう。
「守りの内在化」について詳しくは下記のリンクをご参照下さい。
4.顔を合わせる頻度を多く持つ
アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが1968年に出した論文で世の中に浸透するようになった単純接触効果と呼ばれる法則があります。どのような法則かというと、人は興味がなかったり、苦手だと思っていたものも何度も見たり、聞いたりすることで好意的な感情になって行くという効果を指します。
広告業界などは古くからこの単純接触効果を使って莫大な利益を上げている業種で知られています。また、最近ではインターネットマーケティングなどでも頻繁に使われていますよね。その人の顔を出す事で親近感を得てもらうように工夫されています。ちなみにこのブログのプロフィールの画像も単純接触効果を狙っています。
ただし、この単純接触効果、嫌いな人に対しては頻繁にあうほど、より嫌いになって行くと言われています。人と信頼関係を築くには相手に嫌われないよう心掛けつつ、頻度を多く持つよう心掛けると相手に対して好印象を残す効果が期待出来ます。
5.スキンシップを心掛ける
人はスキンシップを測る事で脳内物質である幸せホルモンオキシトシンが分泌されるようになっています。このオキシトシンは魔法の秘薬とも言えるほど、私たちに素晴らしい影響を与えてくれます。
パーソナルスペースを徐々に近づけてスキンシップが図れる間柄になるとお互いにこのような効果が表れます。
- 愛情深くなる
- 共感力が高まる
- より多くの人にやさしくなれる
- ストレスホルモンコルチゾンの減少
- 幼少時のトラウマの軽減
- 免疫力の向上
上記は代表的な効果の一例ですが、ほかにもまだまだ素晴らしい効果があります。
このオキシトシンが分泌される事で、対人関係のおける能力は上昇して行きます。しかも、オキシトシンが一度分泌されると、その効果は持続します。オキシトシンが分泌されるほど性格は穏やかになり、共感力に溢れた人になって行きます。
オキシトシンについてより詳しくは下記の記事をご覧ください。
性格が向上する事でより人と信頼関係を築くのは容易になって行くことでしょう。
6.空気を読む
今この瞬間に何を求められているのか?という空気を適切に読むことも人と信頼関係を築く上で磨いておきたい能力です。
例えば、お葬式の時にひとりだけニコニコ笑っているようでは空気がまったく読めていないと言わざるを得ませんよね。人の結婚式の時に仏頂面をしているのも空気が読めていませんよね。
人との距離感はこのように自分が発するインパクトでも大きく影響を与えてしまいます。人が発する空気や場が求めている空気を察する事は信頼関係を築く上で必要不可欠です。
では、どうしたら空気を読むのに敏感になれるのか?それは簡単です。人や場に意識を向け続けておくよう心掛ける事です。空気が読めなくなってしまう理由の大半は意識が自分自身に向かっている時です。
自分に意識が向かってしまっていては、周囲の状況にネットワークを張り巡らせる事は出来ませんよね。常日頃から周囲に意識を向けるよう心掛ける事で次第に空気の読める人になって行く事でしょう。
空気の読み方に関してはコーチングの全方位的傾聴が役に立ちます。下記の動画ではコーチングの傾聴の練習法として内的傾聴、集中的傾聴、全方位的傾聴のトレーニング方法をお伝えしています。よろしければご覧ください。
【信頼関係の築き方】プロコーチが伝える人との最適な距離感 まとめ
今回の記事では信頼関係の築き方として人との最適な距離感を作る方法について具体的にお伝えさせて頂きました。
- パーソナルスペースを意識する
- 相手と自分の間に心理的な境界線を引く
- 心の防衛機能を強化する
- 顔を合わせる頻度を多く持つ
- スキンシップを心掛ける
- 空気を読む
これらを意識的に改善していくことであなたは信頼関係を築くうえでもっとも重要な人との最適な距離感を徐々に作り上げていく事が可能となるでしょう。
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