今回は私が導入している自己催眠術である、自己催眠術 劣等感からの解放・6つの法則の要約を記事にしていきたいと思います。
自己催眠術を導入することで期待できる効果は下記になります。
<効用>
不安・緊張・自信喪失・赤面恐怖・どもり・いらいら・インポテンツ・冷感症・生理不順・オナニー癖・食欲不振などの治療。
そのほか、禁酒・禁煙・記憶力増進・性格改造・想像力開発などに効く。
<特徴>
- 医師の指導がいらず、危険がない。
- 一人で行うことができ、自分で催眠状態から覚醒できる。
- 方法がきわめて簡単で、しかも効果が確実である。
- 自分で、客観的に効果が判定できる。
<注意点>
- どんな病気でも、重症の場合は行ってはいけない。
- 順序、姿勢、時間などを、規則通りに行う。
- 練習は、規則正しく、なるべく回数を多くする。
- あせらず、らくな気持ちで練習する。
自己催眠術 劣等感からの解放・6つの方法 平井富雄より引用
他者催眠にも興味のある方はコーチングでも使えるミルトンエリクソンの催眠術入門10の技法をご覧ください。
Ⅰ.自己催眠術とは何か?
自己催眠術をはじめて学問的に体系づけたのは、もとベルリン大教授・J・H・シュルツ博士です。
博士は催眠状態の研究において、催眠にかかると被験者の身体の一部も弛緩することに注目をしました。
そこで、反対に自分自身で体の一部を意図的に弛緩すれば、催眠状態と同じくかつ、自分ひとりで催眠状態に入れるのではないかという仮説を立てました。
つまり、それ以前は、催眠状態に入るには他人に頼らなければならなかったものが、一人でも導入できるのではないかと考えたのでした。
そして、その仮説は様々な検証に基づき有効性が認められ、自己催眠術が体系化されていったのです。
このシュルツ博士が考案した自己催眠術が自律訓練法となります。
1.自己催眠術を始める前に
シュルツ博士は、自己催眠術の本質を、緊張の解放、心の安らぎ、あるいは爽快なエネルギーの自覚としてとらえていました。
自己催眠中の脳波をはかった実験によると、自己催眠中の脳波はほろ酔い加減の脳波ときわめて似た波長になっているということです。
ようは、ストレスが軽減され、とても気持ちがいい状態と言えます。
アルコールを入れると、身体機能などほかに偏重をきたしてしまうところがありますが、自己催眠術では脳波だけが変化し、身体にかかるデメリットがないということです。
自己催眠状態の脳波はとてもリラックスしていて、快適な状態です。心の中の嫌な声、不安やいらいらなどがリラックスすることにより、軽減されます。
さらに、自分が思った時に何度でも脳をリラックス状態にすることが出来るのも自己催眠術のメリットです。
自己催眠術は次の6段階を順序立てて行う必要があります。
- 第一段階 ウデガオモイ
- 第二段階 ウデガアタタカイ
- 第三段階 シンゾウガシズカニナッテイル
- 第四段階 コキュウガラクダ
- 第五段階 タイヨウシンケイソウガアタタカイ
- 第六段階 ヒタイガスズシイ
様々な実験により、合理的に配置されている順序であるため、これらは順を追ってひとつづつ進んでいかなければなりません。
ようはひとつづつマスターしていくという事です。
第一段階のウデガオモイを体感できるようになったら、第一段階のウデガオモイを終了後、ウデガアタタカイに移行するといった状況です。
①.練習場所
最初の内は、外的刺激の影響を受けやすいため、自分ひとりきりで静かに落ち着ける場所が理想的です。
ただし、少し慣れてきたら、会社のオフィスや電車の中など、外的刺激の多い場所でもできるようになります。
その場合にも、一定時間、同じ姿勢を確保出来る必要があります。
また、練習中は外的な刺激を避けるために、身につけているもので、窮屈に感じる小物類や、ベルト、靴下など気になるものは外しておくことが理想的です。
②.姿勢
自己催眠術において、導入の順番と同じく最も重要な要素が姿勢です。
正しい姿勢で行わないとどんなに一生懸命練習しても、なかなか催眠状態に入れないことがあるからです。
ただし、こちらも練習のうちはということを念頭に入れておいて下さい。
むしろ、練習段階が終わったのであれば、どのような姿勢でも催眠状態に入れるよう様々な姿勢を試してみることをお勧めします。
姿勢は、
- 「腰かけ姿勢(椅子に座った状態)」
- 「あお向け姿勢(布団またはベッドの上であおむけの姿勢)」
- 「もたれ姿勢」(壁に背をあて、足を伸ばすやり方)
です。
「あお向け姿勢」は練習段階では寝てしまう可能性が高いことから、
「腰かけ姿勢」か「もたれ姿勢」をおすすめします。
目はつむるか、半開きで行います。
③.練習中の心構え
練習中の心構えとして意識をしすぎないことが大切です。
たとえば、「ウデガアタタカイ」という暗示に対して、「腕をあたたかくしよう」などと意識をしすぎてしまうとよろしくありません。
心がひとつの側面に捉われてしまっては、一種の緊張状態となり、催眠状態に入ることが出来なくなってしまうからです。
ただし、いくら考えないようにしようとしても、頭が勝手に思考を繰り返してしまうということは、
練習の初期段階では当然のようにあります。
最も的確な対処法は「ウデガアタタカイ」という頭で発する暗示に対して、身体に反応がなくても身をゆだねることです。
身体の反応は何度も練習を繰り返すうちに、あとからいくらでも体感できるので心配しなくても問題ありません。
それよりも、頭の中に出てくる否定的な言葉に意識を向けないことが重要となるため、暗示に身をゆだねるという心持ちがとても大切です。
④.練習回数・練習時間
自己催眠術の第1段階から第6段階の1回の練習時間はとても短く、30~90秒ほどとなります。
第1段階のみの練習では第1段階のみで90秒以内となります。
体感が出来るようになったら次の段階に進んでいきます。おそらく1週間から2週間ほどです。
はじめのうちはこの練習を第1段階だけで何回か間をおかずに繰り返します。
1回にかける時間を短くする
練習初期段階ではなかなか感覚をつかめないため、1回にかける時間を長くとってしまいがちになります。
ただし、それはまったく効果がない方法だといわれています。
身体の変化が感じられなくておそくとも90秒で終わらせるよう意識し、その後3~5回同様に続けていきます。
この繰り返しを1セッションといいます。
次に、第2段階まで練習が進んだ場合には第1段階と第2段階を合わせて90秒以内とします。
当然、第7段階まで進んだ場合は、第7段階までで90秒以内に終了する手順となります。
理想は毎日1セッション
理想は毎日、朝、昼、晩に1セッションづつ行う事です。
ただし時間が取れない場合は、朝、晩に1セッションづつ、もしくは朝、昼、晩のどこかで1セッションを行います。
毎日行うということが練習中は最も重要です。
⑤.終了・覚醒
セッションが終了した後は、目をあけて両腕、両足を2~3回づつ屈伸します。
その後、深呼吸を行います。
この覚醒作業は行わないとめまいなどが発生してしまう可能性もあるため、めんどくさがらずにやっておくべき事です。
Ⅱ.自律神経訓練法
自律訓練法に入る前に、深呼吸を2~3回行います。
- 息を吸い込む
- 吸い込んだ息を3秒ほど止めておく
- 息をゆっくり10秒以上にかけて吐き出す
- 吐き出した後3秒ほど止めておく
上記を3セットほど繰り返してから自律訓練法を行います。
深呼吸は催眠に入る前に余計な力を抜き、リラックスするために時間をかけて行うことをおすすめします。
運動前のストレッチのようなものです。
1.ウデガオモイ
第1段階は自己催眠術の入り口の段階であり、この段階さえマスターすることが出来ればあとの5段階は比較的スムーズに感じることでしょう。
そのため、ゆっくりとこの第1段階習得に臨むことが何よりの近道となります。
①.催眠のかけ方
心の中で「ウデガオモイ・・・ウデガオモイ・・・ウデガオモイ・・・」と繰り返します。
無理やり重くさせようとするのではなく、言葉に身を任せていってください。
また、イメージも効果的です。両手の下にボーリングの球がくくりつけられて、下に引っ張られているイメージも余裕があれば付け加えてみてください。
徐々に腕から力が抜けて重くなったと感じたら終了して覚醒します。必ず90秒以内でやめるよう意識しておいて下さい。
終わったら覚醒をして下さい。
②.効果・効用 ストレスが減る
ウデガオモイという催眠は被験者の筋肉の電気活動を減らします。これは通常かかっている筋肉の緊張状態から腕が解き放たれ脳の刺激が減ることをさします。
第1段階は、心の安静を失った時に起こる軽度の精神的障害にも有効があることが確認されています。
「あがりやすい」「すぐ顔が赤くなる」「どもる」などの対策に効果的です。
また、脳にかかる刺激が減ることによる心の安静の効果は「寝つき」にも関係してきます。脳がリラックスすることにより、寝つきがよくなることも実証されています。
③.注意
第1段階の自己催眠術は重病人でもない限り、高齢者でも、多少体の弱い人でも正しく行えば、だれが実行してもまったく危険はありません。また、年齢は8歳から可能です。
2.ウデガアタタカイ
第2段階は筋肉の末梢血管の血行を良くすることによって、身体全体と心の緊張をとく自己催眠術です。
実際にウデガアタタカイと自己催眠術をかけた被験者の腕の温度を測ったところ、1.5度の上昇が実験では確認されています。
①.催眠のかけ方
心の中で「ウデガオモイ・・・ウデガオモイ・・・ウデガオモイ・・・(つづけて)ウデガアタタカイ・・・ウデガアタタカイ・・・ウデガアタタカイ・・・」と繰り返します。
ウデガオモイを感覚的につかまれているのであれば、同じ要領で行ってください。きっと、感覚的にすぐにコツはつかめると思います。
こちらもイメージの力が重要です。
手に気のエネルギーが充満してあったかくなっているというイメージや、温泉に手をつけているといったイメージを頭に思い描くことも効果的です。
感覚が感じないときは無理に感じようと焦っても仕方ありません。
この段階も90秒以内にやめることを意識してください。終わったら覚醒をして下さい。
②.効果・効用 第1段階よりもよりストレスが軽減される
ウデガオモイに加え、ウデガアタタカイという暗示も入っているため、より脳にかかる刺激が減ってきている状況です。
より深いリラクゼーションを得るため脳にかかるストレスが第1段階よりもはるかに減ります。
また、自身がつく、マスターベーションの悪癖が減る、手の震えをなおす、血行が良くなることによる、皮膚、筋肉の疲労の早期回復などがあげられます。
③.注意
高・低血圧、脳貧血などの血圧関係に異常のある人、喘息、ジンマシンなどのアレルギー体質の人、女性では、月経困難の傾向にある人などは第2段階の訓練は避けてください。
その上で、第3段階の訓練に移行してください。特に高齢者で上記項目に当てはまる方はこの訓練はしないでください。
3.シンゾウガシズカニウッテイル
第3段階は、心臓の働きをととのえることによって、精神の緊張をとく自己催眠術となります。
この段階での身体的影響は脈拍数にも現れます。
被験者で実験したところ第1段階から第3段階までで10近く脈拍が減少しています。
①.催眠のかけ方
「ウデガオモイ・・・(×3)ウデガアタタカイ・・・(×3)シンゾウガシズカニウッテイル・・・シンゾウガキソクタダシクウッテイル・・・(×3)」
なかなか感覚がつかめないようであれば、あおむけに寝て、手のひらを心臓に充ててみましょう。
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・という音が次第に弱まり、完全に自己催眠に入ると音がまったく聞こえなくなります。
この段階も90秒以内にやめることを意識してください。
終わったら覚醒をして下さい。
②.効果・効用 交感神経の働きを抑え、副交感神経を活動
怒り癖の軽減、忍耐力、根気の上昇
③.注意
心臓の病気を持っている人、普段から動悸、息切れに悩まされている人、また、催眠中、あるいは終了直後に、いつもいらいらや胸苦しさを感じる人はこの第3段階を避けて第4段階に移ってください。
4.コキュウガラクダ
第4段階では呼吸を調整することにより、身体全体と精神の緊張をといていく自己催眠術です。
6段階の自己催眠術で最も会得が簡単な催眠となります。呼吸が楽になり、呼吸の回数も著しく減ってきます。
これは楽な呼吸が自然とできているため、呼吸の回数が減り、深くなっていることを表します。
①.催眠のかけ方
「ウデガオモイ・・・(×3)ウデガアタタカイ・・・(×3)シンゾウガシズカニウッテイル・・・シンゾウガキソクタダシクウッテイル・・・(×3)コキュウガラクダ・・・(×3)」
第4段階は比較的長い間訓練を続けても大丈夫です。何度も呼吸を繰り返してリラクゼーションを全身で感じ取ってみてください。
この第4段階は1回1分から5分かけて行っても平気です。ただし、第3段階までは90秒以内に終わらせるよう意識しましょう。
②.効果・効用 身体の緊張がより解けることにより自身がみなぎる
食欲不振の改善、虚弱体質の克服、臆病質の人の改善、身体の異常感に悩まされている人の改善などがあげられます。
また、第4段階で催眠状態をマスターしたのであれば、禁酒・禁煙の自己暗示をかけて楽に悪癖から解消できるやり方があります。
例えばタバコの場合、「コキュウガラクダ・・・」のあとに、「いつでも、どこでも、どんなときでも、たばこを吸わなくてすむようになる。他人は吸っている。しかし、私は吸わない」と暗示をかけるのです。
お酒も同様となります。
③.注意
喘息症の人はこの段階を飛ばしてください。
5.タイヨウシンケイソウガアタタカイ
腹部のみぞおちあたりにある太陽神経叢という神経の集まりを温めることで、内臓諸機関の働きを調整し、ひいては精神の安定を測る自己催眠術です。
太陽神経叢は胃、腸、肝臓、腎臓などの活動を正常に保つうえで重要な働きをします。
①.催眠のかけ方
「ウデガオモイ・・・(×3)ウデガアタタカイ・・・(×3)シンゾウガシズカニウッテイル・・・シンゾウガキソクタダシクウッテイル・・・(×3)コキュウガラクダ・・・(×3)タイヨウシンケイソウガアタタカイ・・・(×3)」
もし、あたたかさが感じられない場合は、シンゾウガシズカニウッテイル・・・の時と同じく、手を太陽神経叢(みぞおちのあたり)に充ててください。
そうすると、手からのエネルギーで太陽神経叢が熱くなってくる感じが伝わってくるようになります。
この段階は1回1分から5分行って大丈夫です。終わったら覚醒をして下さい。
②.効果・効用 腹部に血液が循環するため、諸臓器の活性化に効果あり
胃・腸・肝臓・腎臓などの臓器の不調や活性化にとても効果を発揮します。
また血液がおなかに集まり循環することにより、神経性胃弱、慢性下痢、肝臓機能の低下、冷え症、身体全体の老化、冷感症、精力低下、ストレス低下などにも効果があります。
交感神経、副交感神経が入り組んだ太陽神経叢の活性化は自己催眠術の中でも特に威力を発揮する項目です。
③.注意
現在、医師から胃潰瘍、十二指腸潰瘍、糖尿病の診断をされている人はこの項目を飛ばしてください。
6.ヒタイガスズシイ
額を涼しくすることによって、頭の働きを効率化し、冷静さと判断力を増していきます。また、この訓練は脳に直接影響をおよぼすため、暗示効果が非常に強くなります。
第6段階が終わった後で将来の自分をイメージしたり、克服したい過去を書き換えるイメージを行ったりと、自己暗示に関して幅広いバリエーションを持つことが出来ます。
今までの自己暗示は体に暗示をかけていましたが、この6段階では体にかける催眠法と、心にかける催眠法の境界に位置する高等技術であるといえます。
①.催眠のかけ方
「ウデガオモイ・・・(×3)ウデガアタタカイ・・・(×3)シンゾウガシズカニウッテイル・・・シンゾウガキソクタダシクウッテイル・・・(×3)コキュウガラクダ・・・(×3)タイヨウシンケイソウガアタタカイ・・・(×3)ヒタイガスズシイ・・・(×3)」
この訓練にはあおむけが最も適しています。
第6段階の暗示は心へ送る暗示作用が大きいため、今までの催眠よりもイメージ力が強く働きます。
今まで冬で額が寒かった経験をイメージとして思い出したり、額に涼しい風があたっているイメージをしたりあなたに合ったイメージを構築することがカギとなります。
最初のうちは1回の練習の時間を1分以内としてトレーニングをしたほうが効果的です。
第5段階を20秒ほどで体感し、残り40秒ほどで額の涼しさに意識を向けるといった感じです。
慣れてきたら1回の訓練を90秒から3分まで伸ばしていっても大丈夫です。
②.効果・効用 脳が半覚醒・半意識の状態となる。
アルファ派、シータ派の波長が現れ、完全に脳波が深い催眠状態に入ることになります。
心の平静が深くなり、性格・人格面における効果、想像力、独創力、好奇心や洞察力がます効果などがあげられます。
特にビジョンを目の前に鮮明に映し出す効果はとても高くなります。
潜在意識を活用して目標を達成するためには、多少労力がかかったとしても身につけておくべきスキルのひとつであるといえるでしょう。
③.注意
脳の血行にも左右する催眠のため、脳障害を負っているかたは避けてください。また、動脈硬化や、心臓病の兆候のある人も危険なので避けてください。
まとめ
私が自己催眠術をマスターすることで最も効果があったなと感じることは、精神力の強化です。
失敗や不安に押しつぶされそうになった時や、自己嫌悪の声に押しつぶされてしまいそうな時でも自己催眠術をすることで気持ちがとても楽になるからです。
脳の機能上ネガティブになっている時に発する思考は自分を追い詰める思考に偏るそうです。
そのような時でも自己催眠術を使い気持ちがリセットされれば必要以上に心の声が自分を追い込むことがなくなりました。
自己催眠術をマスターしたうえで、引き寄せの法則とは?潜在意識を使いこなす5つのテクニックを使うと恐ろしいほどの威力を発揮します。
よろしければこちらもご覧ください。
参考文献
自己催眠術 平井富雄 光文社
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