人間関係を劇的に好転させるコミュニケーション傾聴とは?

傾聴

傾聴とは人間関係を良好に発展させるうえでとても効果的なコミュニケーション方法です。

辞書では「聞く」の意味を、音・声を耳に受ける。耳を傾ける「聴く」の意味を、注意して耳に止める。耳を傾ける。と説明されています。傾聴とはもともとカウンセリングの造語です。

傾けて聴くというのは、意識して耳・身体・心を傾けて聴くということを表します。
要するに全身で聴くということです。

傾聴の技術を身に付けると、相手との心理的距離がぐっと縮まります。
また、相手との信頼関係が強まり、人間関係も向上してくるのです。

傾聴を身に付けるということで、
あなたのコミュニケーション能力は劇的に向上していくことでしょう。

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Ⅰ.傾聴とはどのような技術なの?

傾聴とは?

傾聴がどのような技術であるかを具体的にお伝えしていきます。

  • 話し相手の自己肯定感を高め信頼関係を構築する技術
  • 社会人基礎力に必要な技術

この2つを順を追って説明していきましょう。

1.話し相手の自己肯定感を高め信頼関係を構築する技術

自己肯定感

人はだれしも「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」
と認められたいという気持ちを持っています。

ありのままの自分自身を受け止めてもらいたいという欲求です。
この気持ちを自己肯定感といいます。

傾聴で話を聴くと、話している相手の自己肯定感はおのずと高まります。

あなたが相手の話を自分のことのように受け止め、
共感し、真剣に理解するよう努めたとしましょう。

それが相手にとってはこの上なく心地よいのです。
相手にとってあなたはとても話しやすく、信頼できる人だと映るのです。

行為の返報性

話し相手は自分を”ひとりの人間”として認められているということが
何よりもうれしいのです。

心理学に好意の返報性という言葉があります。
人はたとえ、それが些細なことであっても受けた好意に報いたいという気持ちを持ちます。

相手はあなたから受けた無償の好意に報いたいと感じるのです。
だからこそ、あなたを自分にとって信頼できる貴重な存在として認めるのです。

自分にとってかけがえのない存在として認めることで好意に報いようとするのです。
そこには当然信頼関係が生まれます。

2.人間関係を円滑にするために必要な技術

社会人基礎力

まずは上の画像をご覧ください。

「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を
社会人基礎力といいます。
これは経済産業省が提唱している考え方となります。

上記画像のチームワークの項目に傾聴力があることをご確認ください。

傾聴力とはチームワークにはなくてはならない要素として取り入れられています。
傾聴はこのように人間関係を円滑にするために必要な技術なのです。

傾聴力を身に付けると言うことは、1対1の話し相手とのコミュニケーションのみならず、
人と人とがつながる場には必要な要素であるといえるでしょう。

経済産業省がチームワークにて傾聴を取り上げるには理由があります。

それは、ひとりひとりが傾聴を身に付けることは
職場の人間関係をよりよくするのに最も効果が高いという点にあります。

職場の問題の大半は人間関係のこじれ

職場の問題の多くは人間関係に端を発します。

では、なぜ人間関係に問題が生じるのでしょうか?
それはコミュニケーションによって自己肯定感が満たされていないからです。

多くの人は話を聴くことよりも、話をすることに積極的です。
結果として自分の話を聴いてくれる人が圧倒的に少ないということです。

自己肯定感は話を聴いてもらって初めて高まります。

話を聴いてくれる人が少ないということは
自己肯定感を満たせないということになります。

自己肯定感が低くなると自分を認めてもらえていないという気持ちになります。
自己肯定感が満たせない職場ではストレスがたまって当然です。

多くの人にストレスが貯まることで人間関係に影響を及ぼすのです。
だからこそ、ひとりひとりの自己肯定感を高めることが重要となるのです。

そして、ひとりひとりが快適に仕事が出来る環境が出来れば
職場の人間関係の改善につながります。

そのためには、自己肯定感を高める傾聴力が必要不可欠なのです。

Ⅱ.傾聴の種類

傾聴

傾聴には3つの種類があります。
内的傾聴、集中的傾聴、全方位的傾聴です。それぞれ説明させていただきます。

1.内的傾聴

内的傾聴とは自分のうちなる声に意識をフォーカスしている状態をさします。

内的傾聴には2つの側面があります。
1つ目の側面が人との対話の時出てしまう負の影響、
2つ目の側面が自分との対話における正の影響です。

順を追って説明していきましょう。

人との対話の時に出てしまう負の側面

人と対話している時に内的傾聴の状態に入ってしまうと、
話を「聴く」ことが出来なくなります。

その理由は相手の話を聴きながら、自分の心の声も聞こえてしまっているからです。
要は、2つの話を同時に聞いてしまい、相手の話に集中できない状態となるのです。

だからこそ人と話をする時に内的傾聴に入らないように意識する必要があります。

自分との対話における正の側面

自己との対話での内的傾聴はとても重要な役割を果たします。
内的傾聴とは潜在意識の声に意識をフォーカスすることでもあります。

自分自身の問題点や、今後の方向性などを潜在意識に問いかけると、
潜在意識は効率的に対応方法を見つけてくるのです。

詳しくは意識を変えるだけで劇的に人生が好転する成功の秘訣3か条にある
フォーカスの力をご覧ください。

潜在意識に質問を投げかけることの重要性を説明しております。

2.集中的傾聴

集中的傾聴とは相手のすべてに意識を向けた聴き方です。

言葉や、表情、視線、しぐさ、身振り、声のトーンや張りなど
相手から発せられるあらゆる情報を受け取ります。

これにより相手の立場になって物事を認識できます。

相手がどのようにとらえているのか?どのように感じているのか?
といった言葉に表していない感情までをも聴き取るのです。

剣道の試合から得るもの

剣道の試合をイメージしてください。
そこには相手の踏込から、視線、動き方や、息遣い。
ありとあらゆる神経を総動員して対戦相手と対峙するでしょう。

そして、相手が踏み込んで来たら身体は受けに守るか、よけるか、攻めるか、
様々な選択肢から最善の策を見出していくことでしょう。

この時に、相手が攻めてきてから頭で考えていたのでは、
対応が間に合わないことは言うまでもありません。

剣道の試合のように集中的傾聴とは次に何をしようなどと頭で考えることはしません。
相手の一挙手一投足から何を言いたいかを心で感じ取り瞬時に対応をしていくのです。

集中的傾聴は簡単なコツを心掛けるだけで行うことが出来るようになります。
その簡単なコツとはこころの中で相手に「前へならえ」をするイメージを持つことです。

3.全方位的傾聴

全方位的傾聴とは集中的傾聴よりも一段階レベルの高い傾聴方法だと言えます。

相手から発せられるメッセージは当然、周囲にあるフィールドのエネルギーや、
相手のオーラなど受け手が直感的に感じたすべてを受け入れるという聴き方です。

話し手と受けてがふたりだけ宇宙の別世界にいって話をしているような
感覚とでも言えばいいでしょうか。

周囲360度に対して全方位に向けて意識を集中している状態です。
聞き手の集中力が高まるとこのような不思議な感覚に陥ります。

全方位的傾聴とは場に意識を向けること

しかし、特別な能力でもありません。全方位的傾聴は特に、
人前で話をする人たちが自然と身に付ける傾聴方法だといいます。

セミナーの講師や漫才師など多くの人の前で話をする
職種の人たちは場の空気を感じ取ることにたけているからです。

今日は「空気が思い」とか、「会場に熱が入っている」とか表現の方法は様々ですが、
このように周囲から受け取るエネルギーが体感として感じられること特徴です。

この状態になると、直観力が大きく高まります。

その時、その場でもっとも効果的な質問が急に出てきたりするのです。
また、心が通じ合っている間隔を共有できます。

うまく言葉に出せなくても意識が共有できるのです。

Ⅲ.傾聴の効果

傾聴がもっとも効果をはっきする場面について具体的にお伝えさせていただきます。

  • 家庭円満
  • 子育て
  • クレーム対応

この3つの対応を順をおって説明していきますね。

1.家庭円満

家庭円満

夫婦関係にこそ傾聴の技術はなくてはならない技術でしょう。
特に男性は女性の話を聴くことに苦手意識を持っている人が多いのでなおさらです。

女性は話をすることでパートナーから、共感を得たい、
大切にされていることを確認したいという気持ちを持っています。

しかし、男性は女性の話を他愛もないものと判断し聴く耳を持たない傾向にあります。

女性の本質は自己肯定感を満たしてもらいたいのです。
にもかかわらず、多くの男性は先ほど取り上げた信頼を損なう聞き方をしてしまいます。

  • でも、しかしといったようにほとんどの話を否定する
  • 話し相手から話を横取りしてしまう
  • 相手の感情を読まない
  • まったく話に関心がなさそう
  • そんなのこういうことだよ。などという決めつけ
  • 結論をせかす

傾聴を身に付けることで夫婦間の問題の多くは解決される

傾聴を意識して夫婦の会話をしていけば夫婦間における
意思疎通の問題の多くは取り除かれていきます。

もちろん、男女ともに傾聴力を
身に付けたほうがいいということはいうまでもありません。

ここで面白いデータをご紹介しましょう。

シカゴ大学教授の山口一男氏は、仕事と家庭の調和の観点から、
妻の夫婦関係満足度と夫への信頼度に焦点を当てて調査をしています。

その結果、会話が多いほど奥さんの結婚生活への満足度が高いそうです。

そして、旦那さんの月収が仮に10万円減ったとしても、
下記のどれかが満たされれば満足度は減少しないことが分かりました。

  • 平日の夫婦の会話が1日に16分間増える
  • 夫の育児分担割合が現状より20%増加する
  • 夫婦一緒に大切に過ごしていると思える時間が休日に54分間増加する

いかがだったでしょうか?夫婦にとってどれほど会話が大事かということが
お分かりいただけたのではないでしょうか?

平日の夫婦の会話が1日16分増えるだけで10万円の
月収の減額に耐えられるのですから会話の力は強力です。

当然、この会話は傾聴して聴いてもらえることを前提としていますよね。

2.子育て

子育て

傾聴は子育てにもいかんなく効果を発揮します。
特に子供の自己肯定感を高めるのに効果的です。

では、なぜ自己肯定感を高めることが
子供の成長につながるのかをお伝えさせていただきます。

自己肯定感とは「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」
という気持ちの事です。

自己肯定感とは幼少期にどれだけこの気持ちを
親に満たしてもらったかによって大きく変わってきます。

自己肯定感が高い子供

自己肯定感が高い子供とは、
ありのままの自分に自信を持てている状態のことをさします。

明るく、活発で、人間関係にも恵まれ、前向きでチャレンジ精神に富み、
ストレスを抱えることも少なく幸せに生きていけます。

物事をプラスに考え前向きな人生を進むことでチャンスにも恵まれていきます。

自己肯定感が低い子供

一方、自己肯定感が低い子供とは、ありのままの自分に自信が持てません。
自分には価値がないのではないかと常に心には不安を持っています。

失敗することを過度におそれるあまり、心に強いストレスを残します。
にもかかわらず、人に認められたいという欲求が強いのです。

歪んだ自己表現から人の話を聞かずに自分の話ばかりを延々と続けることもあります。
また、人を傷つけることで自分の優位性を保とうとしたりもします。

自己肯定感を高める傾聴

問題が多い子でも傾聴によって問題行動をなくすことが出来ます。

傾聴によって「自分は大切な存在だ」と受け入れられたという
安心感につながり自己肯定感が高まっていくからです。

普段から傾聴を心掛けることで自然と子供の自己肯定感は
高まり充実した人生を歩き出します。

3.クレーム対応

クレーム対応

クレーム対応にも傾聴の技術は威力を発揮します。

群馬県総合教育センターが保護者からのクレームへの対応を調査した結果わかった事実があります。
それは傾聴が解決策としてもっとも効果が高い技術だということです。

一方、反論や、拒否では問題は長期化するばかりで解決はしないということでした。

マクドナルドのクレーム対応

最近でいえばマクドナルドの対応が思い浮かばれます。
マクドナルドの謝罪会見では、傾聴を使わずに、
反論で応答したばかりに問題がこじれ長期化しています。

顧客がマクドナルドに何を期待していたのかを傾聴していれば
対応は変わっていたことでしょう。

我々の方針は間違っていなかったということを公の場で公表することで、
多くの顧客は大切に扱われていないと感じたのではないでしょうか。

マクドナルドが意識すべきは顧客が何に対して怒っているのか?
ということについて耳を傾けるべきだったのです。

  • マクドナルドが正しかったという情報を求めているのか?
  • 商品券を求めているのか?
  • 上層部の謝罪を求めていたのか?

すべて的を外れているように思えてしかたありません。

顧客の本質的な意見に耳を傾けるには上層部の人たちが真摯に
顧客の声に傾聴をしていくべきだったと思います。

ただ、このことはマクドナルドに限ったことではありません。
同じく、傾聴力がない企業はまだまだ多いのです。

模範的な全方位的傾聴のクレーム対応「タイレノール事件」

次に、企業のクレーム対応として模範的な傾聴方法となる
「タイレノール事件」という事例をご紹介させていただきます。

「ジョンソン社の対応」

1982年、シカゴ警察はシアン化合物によって死亡した7人の市民が直前にタイレノールを服用していたことを発表しました。

タイレノールは国民薬と言ってよいほど普及していた薬で、この発表によって米国民は大きな不安に陥りました。

タイレノールの製造元はジョンソン&ジョンソンの子会社でしたが、ほとんどの米国民は 「タイレノールはジョンソン&ジョンソンが製造している薬だ」と思っていました。

「事件の概要」

この時点では、タイレノールにシアン化合物混入の疑いがあるというだけで、死亡原因かどうかは不明でした。 この情報を受けたジョンソン&ジョンソンでは、経営者会議が召集され、対応を協議しました。

会議は誰の反対もなく、すぐに結論に達しました。決議を受けて、当時のジェームズ・バーク会長は記者会見を行い、 消費者に対して「タイレノールは飲まないように」との警告を発するとともに、混入の疑いのある製品の全回収を発表しました。

バーク会長はその後も夥しい数のテレビニュースや記者会見に登場し、ジョンソン&ジョンソンが会社の利益ではなく、 消費者の命を守ることを第一に考えているという態度を示し続けました。

タイレノールの生産は中止され、販売をやめて小売店から製品が回収されました。 消費者向けのホットラインが開設され、あらゆる情報を提供する姿勢を示しました。 消費者から回収するために引換券が発行され、シアン化物を含まない新しい薬と交換できるようにしました。

このときの回収費用は1億ドル以上に上ったといいます。

6ヶ月後、ジョンソン&ジョンソンは、異物混入ができないようにカプセルや包装方法を変更し、 大規模な広告と売出しキャンペーンを行いました。

これほどの事件であったにもかかわらず、 タイレノールはそれまでの売り上げの90%近くを回復し、さらにバーク会長は「もっとも優れた経営者」として賞賛を浴びました。

ただし、死亡原因がタイレノールに混入したシアン化合物だったかどうかは明らかにされませんでした。

リスクコミュニケーションの部屋へようこそより引用  

顧客の視点で景色を見ることの大切さ

ジェームズ・バーク会長は顧客の声を全方位的傾聴をすることで、
真摯に受け止めたといえるでしょう。

会社の立場からではなく、顧客ひとりひとりの立場となり社の対応を決めたのです。

  • タイレノールはジョンソン&ジョンソンではなく子会社の商品だと説明されることなのか?
  • 死亡原因はタイレノールと決まったわけではないと伝えることなのか?

顧客はこのようなことを望んでいないことはあきらかでしょう。
自分の身に降りかかるかもしれない危険をどのように対処するのか?
ということではないでしょうか。

会社として1億ドル以上の損失を考えるとほとんどの企業は
自社の過失ではないことを説明する事に終始してしまうでしょう。

しかし、それでは顧客からの信頼は0となりより多くの損害を被ることとなるはずです。
マクドナルドが最たる例だと言えます。

バーク会長は自社の損害よりも第一に顧客の安全を考えて行動をとったことで、
結果的に顧客の信頼は事件前よりもはるかに向上したのです。

これは、顧客一人一人が自分が大切にされているという自己肯定感を
満たされたからだといっていいでしょう。

傾聴力とはこのようにクレーム対応において強力に威力を発揮するのです。

まとめ

今回は傾聴によっていかに人間関係を
円滑に進めていけるかをお伝えさせていただきました。

また、どのような場面で傾聴がとても効果を
発揮するかについて考察していきました。

傾聴とは人間関係が存在するすべてのところで
必要な技術だと思います。

 
より具体的な傾聴力の高め方については上記の記事をご参照下さい。
傾聴力の磨き方のコツを分かりやすくお伝えしております。
 

参考文献

  • コーチング・バイブル ヘンリー・キムジーハウス キャレン・キムジーハウス フィル・サンダール 東洋経済
  • はじめての傾聴術 小宮昇 ナツメ社

コメント

  1. みやまえのりこ より:

    コミュニケーションや学生の面接対策講座を担当しているものです。坪井さまのご意見や視点には大変共感できとても興味深く拝読させていただいております。ご本などお書きになればぜひ購入すると思います。ますますのご活躍を期待いたします。 

    • みやまえのりこさん
      コーチとして培ってきた体験や経験がアウトプットという形で活かされているのであれば、とても光栄に思います。このようにお気持ちのこもったコメントをいただけると記事の更新意欲に火がつきます。どうもありがとうございます。書籍は今年か来年には出版していく予定ですのでその時には是非ともよろしくお願いいたします。